咳やくしゃみで頭痛が起きる

咳やくしゃみ、あるいは鼻をかんだ後に頭痛を生じる事があります。

症例

元々片頭痛のある30代女性で、風邪を引いて咳やくしゃみが続いていました。

強く咳をした後、後頭部の激しい痛みに襲われました。その後も咳やくしゃみ、鼻をかんだ際に頭全体に響く強い痛みを繰り返すようになりました。

数日間で風邪の症状は治まったのですが、依然として頭痛は続いており、風邪にしてはおかしいと思い横浜脳神経内科を受診しました。

頭部MRA検査で脳の血管を撮影しました。

脳底動脈や中大脳動脈など比較的太い血管に、くびれて細くなった部分とソーセージのような形の部分とが見られています。脳自体には異常はありませんでした。

症状の経過と画像所見から、可逆性脳血管攣縮症候群（RCVS）と診断しました。可逆性脳血管攣縮症候群（RCVS）は、咳やくしゃみ、鼻をかむなどの動作で誘発される事があります。1) 2)

一次性咳嗽性頭痛と言われる咳で誘発される頭痛があり、インドメタシンが有効とされています 3)が、当院の経験では、その中には可逆性脳血管攣縮症候群である場合が含まれている可能性を考えています。

参考

1. Cough headaches – Mayo Clinic
2. Ducros A, et al. The Typical Thunderclap Headache of Reversible Cerebral Vasoconstriction Syndrome and its Various Triggers. Headache 2016. Apr;56(4):657-73.
3. 一次性労作性頭痛はどのように診断し、治療するか – 日本頭痛学会

（文責：理事長 丹羽 直樹）