風呂上がりに頭痛が起きたり、入浴中やシャワーを浴びた途端に頭痛を生じる事があります。
症例
40代後半の女性で、20代の頃から時々片頭痛がありました。
夜入浴しようと浴槽につかったところ、急に激しい頭痛が出現しました。翌朝には痛みは軽くなっていたので会社へ行きましたが、夜に帰宅後も軽い頭痛は続いていました。仕事の疲れで肩がこっているせいだろうと思い、シャワーを浴びた途端、再び前日と同様の強い頭痛に襲われました。
その後痛みは後頭部から頭全体に拡がり、めまいも伴ってきたため横浜脳神経内科を受診しました。
MRA検査では、
脳底動脈(A)や中大脳動脈(B)などに、くびれて細くなった部分と、膨らんでソーセージのような形になった部分とが交互に生じています。
可逆性脳血管攣縮症候群
(RCVS: Reversible Cerebral Vasoconstriction Syndrome)
で「入浴関連頭痛」と言われてきた頭痛の正体と思われます。
入浴やシャワーがきっかけとなって交感神経系(体を緊張させる神経)が過剰反応を起こし、脳動脈が収縮して強い頭痛を起こします。シャワーを浴びただけでなったり、プールに飛び込んだり潜ったりして生じる事もあります。1) 2)3)
文献
- W Mak, K L Tsang, T H Tsoi, K M Au Yeung, K H Chan, T S Cheng, T F R Cheung, S L Ho. Bath-related headache. Cephalalgia. 2005 Mar;25(3):191-8. doi: 10.1111/j.1468-2982.2004.00832.x.
- Raimundo Pereira Silva-Néto. A review of 50 cases of bath-related headache: clinical features and possible diagnostic criteria. Arq. Neuro-Psiquiatr. vol.76 no.5 São Paulo May 2018.
- Ducros A, et al. The Typical Thunderclap Headache of Reversible Cerebral Vasoconstriction Syndrome and its Various Triggers. Headache 2016. Apr;56(4):657-73.
(文責:横浜脳神経内科副院長 木島 千景)