高齢者の頭痛の場合、痛みが軽いか、頭痛以外の症状が前面に出ている事があります。
高齢者の頭痛症例
80代の男性で、腰と膝が悪いため、しばしば歩行中につまずく事がありました。
正確な発症時期がはっきりしませんが、「何だか体調が悪い」「何となく頭が重い」「ふらつく事が多くなった」と訴えるようになりました。腰が悪いせいだろうと思い、特に病院を受診しようとは思っていませんでした。
ボーッとしている事も多く、ご家族がアルツハイマー病1) ではないかと思い、ご家族と一緒に横浜脳神経内科を受診しました。
MRI検査をしたところ、
脳の右側に血液が貯まっていて脳を圧迫しており、慢性硬膜下血腫2) という状態です。
慢性硬膜下血腫は、頭蓋骨の内側にある硬膜の静脈が破れて出血した状態です。
強く頭をぶつけた後に生じる事が多いですが、原因がはっきりしない場合もあります。しかし、頭をぶつけた後1ヶ月以上たってから生じる事もあります。
特に高齢者の場合には、転んだり頭をぶつけた事自体を覚えていなかったり、痛みの感受性が鈍くなっていたりするため、「頭痛」という症状が隠れてしまう事があります。
対策
高齢者の頭痛は、ご本人が認識していない場合があるため、周囲の方が早めに気が付いていただく事が大事です。転倒した後、それまでの様子と変化がないかを注意深く観察していただく必要があります。
横浜脳神経内科では、日本神経学会および日本頭痛学会の専門医・指導医が診療を担当しています。心配な方はご相談ください。
参考
(文責:横浜脳神経内科 理事長 丹羽 直樹)