顔面の痛み

顔面の痛みがある場合、三叉神経痛を考える必要があります。三叉神経は顔面や頭の内部の痛みを脳に伝える役割をしており、三叉神経痛の多くは、脳の血管が三叉神経を圧迫して起こります。

顔面の痛み

症例

50代の女性です。2年前から、時々左の頬の部分に突然電気が走ったかと思う程の強い痛みに襲われるようになりました。

歯が悪いのかと思い歯科医院を受診しましたが、歯に問題はなく三叉神経痛ではないかとの事でした。脳の病気からくる事もあるので専門医を受診した方が良いと言われ、歯科医院の紹介により横浜脳神経内科を受診しました。

MRIで三叉神経が脳に入る部分を撮像しました。

三叉神経入口部

三叉神経は脳幹という場所に入りますが、斜めに絡まっている血管が見られています。

FIESTA(fast imaging employing steady-state acquisition)という方法で、神経と血管との関係を描き出すと、

三叉神経FIESTA

左の三叉神経の根元の部分に、左の上小脳動脈という血管が接触しています。血管の圧迫による三叉神経痛と診断しました。

しばらくは薬で様子を見ていましたが、痛みが強くなってきたため、手術のできる病院へ紹介しました。圧迫している血管を離す手術を受け、その後顔面の痛みはなくなりました。

※注意しなければならないのは、血管でなく脳腫瘍が三叉神経を圧迫している場合です。また、帯状疱疹というウイルスの感染によって三叉神経の範囲に痛みが出る場合もあります。帯状疱疹は、神経に沿って赤黒い発疹が出る事で気が付きますが、初期には発疹が出ない場合もあります。

参考

  1. Neuroinfo Japan:三叉神経痛 – SQUARE

(文責:理事長 丹羽 直樹

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