「いつも飲んでいる頭痛薬が効かなくなった」「市販薬を規定量飲んでも痛みが引かない」

そのような経験はありませんか?実は、頭痛薬が効かない場合、単に「痛みが強いから」という理由だけではなく、脳内で「薬が効きにくいメカニズム」が働いている可能性があります。

この記事では、薬が効かない4つの医学的な理由と、その解決策について解説します。

この記事の要約:頭痛薬が効かない主な5つの原因

市販薬や処方薬が効かない場合、主に以下の原因が考えられます。

  1. ①服薬タイミングの遅れ:痛みのピーク時には胃の動きが止まり、薬が吸収されにくくなります。
  2. ②ジェネリック薬品の効果差:薬品の製造工程の違いにより、メーカーによって薬効が違います。
  3. ③薬物乱用頭痛:頭痛薬の飲み過ぎにより、脳が痛みを感じやすくなっています。
  4. ④中枢性感作(アロディニア):脳が痛みに過敏になっていて、鎮痛薬が無効化している状態です。
  5. ⑤誤診による不適切な治療:片頭痛ではなく、他の疾患の可能性があります。
片頭痛の薬が効かない原因

 

なぜ頭痛薬が効かないのか?医学的な詳細解説

①服薬タイミングと胃の動き(胃内容排出遅延)

片頭痛の発作が始まると、自律神経の影響で胃の動きが停止する「胃内容排出遅延」という現象が起こります。痛みがピークに達してから薬を飲んでも、薬が胃にとどまり腸へ移動しないため、成分が吸収されず効果が発揮されません。「痛みを感じたら、早めに飲む」が鉄則です。

②ジェネリック薬品と先発品との違い

ジェネリック医薬品は、有効成分・量・効能は先発品と同じですが、添加物や製造方法が違います。このため、溶ける速さや吸収されるタイミングが変わり、製造メーカーによって効果に差が出ることがあります。

③薬剤の使用過多による頭痛

「薬が切れると痛くなるから、また飲む」を繰り返していませんか?

  • トリプタン製剤:月に10日以上
  • 市販の鎮痛薬:月に15日以上

これを超えて服用している場合、薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)に陥っている可能性があります。薬そのものが痛みの閾値を下げてしまい、少しの刺激で頭痛が起きる「負の連鎖」が形成されています。

④中枢性感作とアロディニア(異痛症)

長年片頭痛を繰り返していると、脳が過敏になる「中枢性感作」という状態になります。

この状態が進むと、普段は痛みと感じない刺激(髪をとかす、眼鏡をかける、風が当たるなど)で痛みを感じる「アロディニア(異痛症)」が現れます。アロディニアが出現している段階では、通常のトリプタン製剤や鎮痛薬の効果は著しく低下します。

⑤誤診による不適切な治療

「頭痛=片頭痛」とは限りません。例えば、可逆性脳血管攣縮症候群や脳脊髄液減少症などは、片頭痛の薬は効きません。これらは専門医による詳細な問診やMRI検査で鑑別が可能です。

 

なぜ頭痛薬が効かないのか?医学的な詳細解説

服薬タイミングの見直し

  • 頭痛の初期段階で服用することが重要です。

薬の種類・用量・先発品への変更

  • 効き目に疑問があれば、薬の種類やメーカーを医師と相談しましょう。

予防薬や他の治療法の検討

  • 抗CGRP製剤、抗てんかん薬、ホルモン関連治療など、個別のメカニズムに合わせた治療が有効な場合も。

生活習慣の見直し

  • 睡眠・食事・運動・ストレス管理など、日々の習慣が治療効果に影響します。

 

専門医への相談が必要なケース

  • ・薬を正しく使っても効かない
  • ・頭痛の頻度・性質が変わった
  • ・これまでにない激しい頭痛、しびれ、視覚障害などを伴う

このような場合は、頭痛専門医や脳神経内科への受診をおすすめします。

 

実践的チェックリスト

  • □ 服薬タイミングは適切か(頭痛初期で服用)
  • □ 月の薬使用回数を記録しているか
  • □ 頭痛日記をつけているか
  • □ 生理周期や生活習慣との関連を確認しているか
  • □ 医師と薬の種類や用量を見直しているか

 

よくある質問(Q&A)

Q1. 片頭痛の薬が効かない場合、まず何をすればいいですか?

A1. まずは服薬タイミングや用量、頭痛の記録を見直しましょう。自己判断で市販薬を追加するのは避け、頭痛の特徴や頻度を記録して医師に相談する事が大切です。薬の種類や治療方針の見直しが必要な場合もあります。

Q2. どんな場合に専門医の受診が必要ですか?

A2. 頭痛薬を正しく服用しても効果がない場合や、頭痛の頻度・性質が変わった場合、薬物乱用頭痛が疑われる場合は、頭痛専門医や脳神経内科への受診をお勧めします。これまでにない激しい頭痛、麻痺・しびれ・視覚障害などの症状を伴う場合は早急な受診が必要です。

Q3. 薬が効かない原因にはどんなものがありますか?

A3. 片頭痛のタイプ(血管拡張型・痛覚過敏型)、服薬タイミングの遅れ、ホルモンバランス、薬の使い過ぎ(薬物乱用頭痛)、他の頭痛疾患(緊張型頭痛・群発頭痛など)が考えられます。自分の頭痛の特徴を知る事が、適切な治療への第一歩です。

Q4. 薬が効かない時、市販薬を追加で飲んでも大丈夫ですか?

A4. 自己判断で市販薬を追加するのは避けましょう。薬の過剰摂取は薬物乱用頭痛や副作用のリスクを高めます。服薬の内容や回数は必ず医師に相談し、指示を仰いでください。

Q5. 片頭痛の薬が効かない時、生活習慣で気をつけることは?

A5. 睡眠リズムの安定、適度な運動、バランスの良い食事、ストレス管理、アルコールやカフェインの摂取量の調整などが大切です。生活習慣の改善が治療効果を高める事もあります。

 

まとめ

  • ・片頭痛の薬が効かない原因は複数ある
  • ・早めの服薬・薬剤の見直し・生活習慣の改善が重要
  • ・自己判断で薬を追加せず、必要なら専門医に相談

 

参考文献

 

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この記事は横浜脳神経内科医師が書いています。

理事長 丹羽 直樹
理事長 丹羽 直樹

資格

略歴

  • 1988年3月 千葉大学医学部卒業
  • 1989年10月 松戸市立病院 救急部
  • 1994年10月 七沢リハビリテーション病院
  • 2002年4月 沼津市立病院 神経内科
  • 2002年11月 長池脳神経内科開設
  • 2012年11月 横浜脳神経内科開設