片頭痛の薬が効かない原因には、様々な理由が考えられます。
トリプタン製剤(スマトリプタン、ゾルミトリプタン、エレトリプタン、リザトリプタン、ナラトリプタン)が「片頭痛の特効薬」として開発されました。しかし、効かない時があったり、全く効果がない方もいるのが事実です。女性の場合、月経の時は頭痛がひどくて薬が効かないという経験がないでしょうか?
特効薬のはずなのに効かないのはなぜでしょうか?
- 「飲むタイミングが遅いからだ」
- 「薬物乱用頭痛だから薬をやめるべきだ」
- 「緊張型頭痛も混ざった混合型頭痛だからだ」
- 「薬が効かない体質だからしょうがない」
など様々な説があります。
当頭痛外来では、なぜ薬が効かないのかを検証し、治療を根本的に見直します。
全ての人にトリプタンが効くわけではありません。
また、
同じ人であっても常に効くわけではありません。
片頭痛のメカニズムとして、
①脳の血管が収縮した後に拡張する
②脳の痛覚過敏状態を生じる
という主な2つの要因があり、さらに様々な生活習慣の問題、精神的な問題、女性であれば女性ホルモンの変化などが重なっています。
①の血管が拡張している状態であればトリプタンが効きます。
②が強くなっている場合には、血管を縮めても効果はなく、脳の過敏さを弱めてやる必要があります。①の過程で逆に脳血管が収縮しすぎて痛くなっている場合もあります。こうした場合にはトリプタンは効きません。
当頭痛外来では、片頭痛の状態は常に移り変わるものととらえて治療します。
トリプタンが効かなかったとしたら、
- 血管の拡張よりも②の痛覚過敏が強い場合
- そもそも片頭痛ではない場合(可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS、椎骨動脈解離など)
を考えなければなりません。特に可逆性脳血管攣縮症候群の場合はトリプタンは逆効果となります。
片頭痛の薬が効かない原因を分析し、患者さん一人ひとりの頭痛がどんなメカニズムで起きているかを判断して、薬を使い分ける事が必要と考えます。
参考
(文責:理事長 丹羽 直樹)