顔のしびれの原因について説明します。
脳梗塞
視床という場所の脳梗塞により生じる事があります。また、視床痛といって、痛みとして感じる事もあります。通常は、脳梗塞の反対側の顔面や手足のしびれとして出現します。
三叉神経痛
顔面の痛みを脳に伝える三叉神経が脳血管に圧迫されて生じます。通常は鋭い痛みですが、軽い場合はしびれとして感じる事もあります。
アロディニア
アロディニアとは、軽い刺激で痛みやしびれを感じる状態です。また、刺激がなくても生じます。脳梗塞で生じる事もありますが、片頭痛の症状として出現する場合があります。
片頭痛におけるアロディニア
頭部アロディニア
- ・顔に風が当たると痛い
- ・髪の毛がピリピリする
- ・髪の毛を結んでいるのが辛い
- ・ブラシやくしが痛くて使えない
- ・痛い側が枕に当たると寝ていられない
頭部以外のアロディニア
- ・手足のしびれ感やピリピリ感
- ・腕時計が不快
- ・ベルトがきつい
- ・布団や毛布が体に触れると深い
片頭痛では、顔の感覚を脳に伝える三叉神経が刺激されると、脳内の視床という場所で痛みを過剰に感じやすくなります。すると、三叉神経の範囲だけでなく、手足の感覚も痛みやしびれを感じるようになります。片頭痛のしくみをご参照ください。
診断と治療
顔のしびれ以外の症状を確認し、MRI検査で診断が確定します。検査で原因となる所見がなければ、片頭痛の症状としてのアロディニアが考えられます。
脳梗塞の場合
視床痛に対しては、薬物治療が基本となります。無効な場合、反復経頭蓋磁気刺激治療が試みられます。
三叉神経痛の場合
軽い場合は、薬物治療を行います。しかし、根本的治療としては、神経血管減圧術という血管の圧迫を取り除く手術を行います。
片頭痛によるアロディニアの場合
脳内の痛覚過敏に対して、バルプロ酸などを用いる薬物治療を行います。
参考
(文責:横浜脳神経内科 理事長 丹羽 直樹)