頭を下げると痛い頭痛の原因

頭を下げると痛い

頭を下げると痛い頭痛は、まずは片頭痛が考えられます。

片頭痛では脳の血管が拡がる事があり、頭を下げると脳の血液量が増え、さらに血管が拡張して痛みが強くなるためです。

この時は、血管を冷やす事で血管が縮んで痛みが軽くなります。逆に入浴や運動など体温が上がる動作で血管が拡張して痛みが強くなります。痛い場所を冷やしてもよいのですが、左右いずれか頭痛の起きている側の首の部分を氷や保冷材などで冷やすと効果的です。

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脳の血管の入口は主に頚動脈という首の部分の血管だからです、痛いのが左側であれば左側の頚動脈、右側であれば右側の頚動脈を冷やすとよいでしょう。片頭痛は必ずしも片側とは限らないので、両側が痛ければ両側を冷やしてみてください。

冷やしてもだめな場合②は、血管収縮薬であるトリプタン製剤などを用います。

頭を下げて痛くなるのは必ずしも片頭痛だけとは限りません。

症例1

元々頭痛持ちではなかった20代後半の女性です。風邪をひいて喉の痛みと咳が1週間続いていましたが、その後頭痛が続くようになりました。目の奥から頭部全体にわたる鈍い痛みでした。

床に落とした物を取ろうとして頭を下にすると、痛みが強くなりました。風邪の症状はすでになくなっているのに、頭痛が続くのは変だと感じて横浜脳神経内科を受診しました。

MRI検査で見たところ、

篩骨洞炎

蝶形骨洞という部分に液体が貯まって白くなっています。感染を起こして膿が貯まっている状態で、急性副鼻腔炎と診断しました。

鼻の仕組み 構造

顔面の骨の裏側には副鼻腔という空洞が拡がっており、鼻腔(鼻の穴)と細い穴でつながっています。風邪や花粉症で粘膜の炎症が起きると、この細い穴がふさがり、内部に細菌が繁殖して膿が貯まった状態が急性副鼻腔炎です。頭を下げると、副鼻腔内部の圧力に変化をきたして頭痛が強くなります。1)

この症例のような蝶形骨洞の副鼻腔炎は奥深い場所のため、レントゲン検査では分かりにくく、MRI検査で初めて診断が付く事があります。

重症の急性副鼻腔炎では、細菌感染が頭蓋骨内部まで及んで命に関わる場合もあるので注意が必要です。

参考

  1. 鼻の病気:耳鼻咽喉科・頭頸部外科が扱う代表的な病気
  2. 岡山大学免疫病理学教室:体を守る炎症反応

 

(文責:理事長 丹羽 直樹

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