トイレでいきむと頭痛が出現する事があります。
症例
元々頭痛持ちの40代女性で、慢性的な便秘に悩んでいました。
排便の際、トイレでいきむと頭痛が出現しました。突然殴られたような激しい頭痛で、さらに、嘔吐もしました。鎮痛剤を飲んでいったん頭痛は軽くなったものの、完全には治まりませんでした。
その後も軽い頭痛は続いていましたが、翌朝排便後に再び同様の激しい頭痛が出現し、鎮痛剤を飲んでも効きませんでした。そこで、何か脳の病気ではないかと心配になり、横浜脳神経内科を受診しました。
頭部MRA検査で脳の血管を撮影しました。
脳底動脈や後大脳動脈という血管が、所々くびれて細くなっています。多発性分節性狭窄といい、脳動脈がいたる所で縮んでいる状態です。
したがって、この症状の経過と画像所見から、可逆性脳血管攣縮症候群と診断しました。可逆性脳血管攣縮症候群は、排便のように息をこらえていきむ動作が誘因となります。また、咳やくしゃみ、笑う事、泣く事、歌を歌う事などで誘発される事もあります。1) 2)3
参考
- Cough headaches – Mayo Clinic
- Ducros A, et al. The Typical Thunderclap Headache of Reversible Cerebral Vasoconstriction Syndrome and its Various Triggers. Headache 2016. Apr;56(4):657-73.
(文責:理事長 丹羽 直樹)