片頭痛と空腹の関係についての考察です。

空腹(低血糖)の影響
片頭痛は脳血管が収縮した後拡張して起こります。
空腹時や朝起きた時から片頭痛が起こる経験はありませんか?これは、低血糖により片頭痛が誘発された状態と考えられます。血糖値が下がると、反動でアドレナリン、グルカゴン、コルチゾールなどが分泌されます。これらの物質は脳血管を収縮させ、その後血管拡張により片頭痛が起こります。そんな時には、食べると治る事があります。
急激な血糖値の変動
さらに、急激な血糖値の変化「血糖値スパイク」は、脳にとって予想外のストレスとなります。そして、片頭痛の悪化や慢性片頭痛の原因ともなります。したがって、炭水化物の過剰摂取や不規則な食生活は、かえって片頭痛を誘発します。
具体的事例
このように、低血糖により片頭痛を起こすケースとして、以下のような場合が考えられます。
- ・食事を抜く
- ・朝起きた時
- ・運動後
- ・空腹時の入浴
- ・ダイエット
- ・元々小食
つまり、対処法としては、
- ・食事を抜かずしっかりと食べる
- ・寝る前や運動前には糖質を含まない食品を軽くつまむ
- ・無理なダイエットは避ける
といったところでしょうか。
アドバイス
片頭痛は空腹で起きやすいものです。そこで、血糖値を上げにくく簡単に食べられる食品として、ナッツ類、おつまみ小魚などがお勧めです。
また、1日3食をバランス良く食べ、食生活の乱れを避ける事も大事です。
夕食に糖質を摂り過ぎると、寝ている間に血糖値の急低下が起こります。さらに、睡眠中の血液中二酸化炭素濃度上昇も加わり、翌朝起きた時に頭痛を生じる原因となります。夕食では、できるだけ甘いデザートなどは控えましょう。
さらに、アルコールやチョコレート、チラミン、亜硝酸塩、グルタミン酸ナトリウムなど片頭痛を誘発する食品を控えるようにしましょう。頭痛と食べ物をご参照ください。
文献
- 永田栄一郎. 片頭痛の予兆期・前兆期,発作末期にみられる 随伴症状とその病態. 日本頭痛学会誌,51:131―134,2024.
- 永田栄一郎. 片頭痛の病態に関する最新の知見. 臨床神経 2020;60:20-26.
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この記事は横浜脳神経内科医師が書いています。
資格
- 日本神経学会神経内科専門医・指導医
- 日本頭痛学会専門医・指導医
- 日本脳卒中学会専門医
- 日本内科学会認定内科医
- 身体障害者福祉法指定医
(肢体不自由、平衡機能障害、音声機能・言語機能障害、そしゃく機能障害、膀胱直腸機能障害)
略歴
- 1988年3月 千葉大学医学部卒業
- 1989年10月 松戸市立病院 救急部
- 1994年10月 七沢リハビリテーション病院
- 2002年4月 沼津市立病院 神経内科
- 2002年11月 長池脳神経内科開設
- 2012年11月 横浜脳神経内科開設