片頭痛と食べ物の関係についての考察
はじめに
片頭痛の原因や対策は人によって異なりますが、「食べ物」は多くの方が悩む大きなテーマです。この記事では、最新の研究や専門医の見解をもとに、片頭痛と食事の関係・実践しやすい予防策・自分に合った対策の見つけ方まで、分かりやすく解説します。
医師のひとことアドバイス:
「無理なく続けられる食事習慣こそ、片頭痛予防の第一歩です。ポイントを押さえて、ご自身に合う方法を見つけてください。」
片頭痛と食べ物の関係とは
片頭痛は、特定の食品や食事リズムの乱れが引き金になる事があります。ただし影響の強さやトリガー食品は個人差が大きいため、「自分に合った対策」を見つける事が大切です。
片頭痛を悪化させる食べ物・飲み物
血管拡張作用のある成分と食品
ヒスタミン(赤ワインなど)
チラミン(チーズ、チョコレートなど)
亜硝酸塩(加工肉、ハム、ソーセージなど)
アルコール
その他注意したい食品
ファストフード
インスタント食品
グルタミン酸ナトリウム(お菓子・インスタントラーメンなど)
ポイント:体質によっては、これらの食品でも症状が出ない場合もあります。大切なのは「自分に合わないもの」を知る事です。
セルフチェック:あなたの片頭痛トリガーを見つけよう
・頭痛が起きた日・時間・食べた物を食事日記に記録する
・頭痛が出やすいパターン(空腹時・特定の食品摂取後など)をチェック
・数週間続けてみて、共通点があればその食品を控えてみる
テンプレート例:
「○月○日 朝:パン・卵/昼:パスタ/夜:焼き魚/間食:チョコレート → 夕方頭痛」
このように、簡単なメモでOKです。
片頭痛の予防に役立つ食べ物・栄養素
マグネシウム
海藻
大豆製品
玄米
ほうれん草
ナッツ
魚介類
ビタミンB2
魚
肉
卵
玄米
納豆
ほうれん草
オメガ3脂肪酸
サケ
マグロ
サバ
甲殻類
続けやすさの工夫:
和食中心のメニューや、サバのみそ煮・納豆ご飯・味噌汁など「手軽に作れる組み合わせ」を日常に取り入れてみましょう。
腸内環境を整える食べ方も大切
発酵食品(ヨーグルト、納豆、味噌など)
食物繊維(野菜、海藻、きのこ類)
腸内環境のバランスが自律神経や炎症に影響し、片頭痛の予防にも役立つと考えられています。
サプリメント活用時の注意点
サプリメントで栄養素を補う場合は、服薬中の薬や体質によって効果・安全性が変わる事もあります。必ず専門医に相談しましょう。
日常生活でできる片頭痛予防の食事・生活習慣
・規則正しい食事時間を守る
・空腹・低血糖を避ける
・和食中心の食生活を心がける
・腸内環境を整える食材を意識する
まずは1つずつ、無理なく始める
よくある質問Q&A
Q1. 片頭痛の時に食べてはいけないものは?
A1. 赤ワイン、チーズ、加工肉(ハム・ソーセージ)、チョコレート、インスタント食品、アルコールなどは片頭痛を誘発しやすいとされています。ただし、全員に当てはまるわけではないので、ご自身の体調と照らし合わせて判断しましょう。
Q2. 片頭痛の時にお勧めの食べ物は?
A2. マグネシウムやビタミンB2、オメガ3脂肪酸を含む食品(海藻、魚、ナッツ、納豆、玄米など)や、発酵食品、野菜中心の和食がお勧めです。
Q3. 空腹や食べ過ぎは片頭痛に関係しますか?
A3. 空腹や低血糖は片頭痛を誘発しやすいので、規則正しい食事を心がけましょう。逆に食べ過ぎも体調を崩す原因になるため、バランスが大切です。
Q4. コーヒーやカフェインは片頭痛に悪いですか?
A4. カフェインは人によっては片頭痛を和らげる場合もありますが、過剰摂取や常用は逆効果になる事もあります。ご自身の体質に合わせて適量を守りましょう。
Q5. 片頭痛の時に水分補給は必要ですか?
A5. 脱水は片頭痛のリスクを高めます。こまめな水分補給を心がけましょう。
Q6. 子どもや妊娠中でも同じ食事対策で良いですか?
A6. 子どもや妊娠中の方は、食事内容や摂取量に注意が必要です。自己判断せず、必ず医師に相談しましょう。
まとめ・実践ポイント
・避けるべき食材・摂りたい栄養素を再確認
・自分の体質に合った食事法を見つける
・できることから一歩ずつ始める
・困った時は専門医へ相談
参考
- ・Migraine – Symptoms and causes – Mayo Clinic
- ・Parisa Gazerani, Laura Papetti, Turgay Dalkara, Calli Leighann Cook, Caitlin Webster, Jinbing Bai. The Brain, The Eating Plate, and the Gut Microbiome: Partners in Migraine Pathogenesis: Nutritents. 2024 Jul 11;16(14):2222.
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この記事は横浜脳神経内科医師が書いています。
資格
- 日本神経学会神経内科専門医・指導医
- 日本頭痛学会専門医・指導医
- 日本脳卒中学会専門医
- 日本内科学会認定内科医
- 身体障害者福祉法指定医
(肢体不自由、平衡機能障害、音声機能・言語機能障害、そしゃく機能障害、膀胱直腸機能障害)
略歴
- 1988年3月 千葉大学医学部卒業
- 1989年10月 松戸市立病院 救急部
- 1994年10月 七沢リハビリテーション病院
- 2002年4月 沼津市立病院 神経内科
- 2002年11月 長池脳神経内科開設
- 2012年11月 横浜脳神経内科開設

