片頭痛とアロマセラピーの関係について説明します。
片頭痛の悪化要因
生活習慣病でもある片頭痛では、様々な悪化要因が重なりあっています。
- ・過剰なストレス
- ・睡眠バランス
- ・長時間のPC作業
- ・片寄った食生活
などが片頭痛を悪化させます。
また、身体のコンディションに不調を及ぼす外的要因があります。
- ・低気圧
- ・気温
- ・寒暖差
- ・湿度
(参考)
自律神経系のバランス
自律神経系は、交感神経系と副交感神経系とから成り立っています。
- 交感神経系(心身を緊張・興奮させる作用)
- 副交感神経系(心身のリラックスさせる作用)
副交感神経を優位にし、ストレスから解放される事が片頭痛の悪化要因を取り除く事に繋がります。つまり、心身ともにリラクゼーションをはかる事が片頭痛予防に有効と考えます。
薬に頼らずに片頭痛を抑える方法の1つとして、当院では片頭痛とアロマセラピーが効果に注目しています。アロマオイルとしてラベンダーやゼラニウムを用いた調査1)2)がなされており、さらなる研究が待たれます。
片頭痛とアロマセラピーの効果
片頭痛に対するアロマセラピーの効果が証明されています。3)
Nazanin Hatami Bavarsadらのreview 4)では、様々な脳疾患におけるアロマオイルの作用機序を挙げています。片頭痛においては、脳血管の神経性炎症を抑える効果について報告しています。
アロマセラピーを取り入れる方法の1つとして、アロマ湿布をご紹介します。
- 1. 水やお湯を張った洗面器等にオイルを1〜2滴落とす。
- 2. タオルやハンカチを入れて絞る。
- 3. 額や首の後ろなど症状のある部分にあて、ゆっくり休む。
- 4. 筋肉の緊張などからくる頭痛には温湿布、片頭痛では冷湿布をする。
当院では数種類のアロマオイルを常備していますので、アロマオイルの香りを試してみたい方はご相談ください。
一方、アロマセラピー同様、副交感神経を優位にするヨガ療法も片頭痛予防に有効です。したがって、当院で行っているヨガ教室では、両者を併用する事で相乗効果を期待しています。
文献
- 公益社団法人日本アロマ環境協会:アロマの研究・調査
- 上野 節子, 菱川 望, 松本 菜見子, 林 紗織, 涌谷 陽介, 田所 功, 武本 麻美, 野村 恵美, 佐々木 諒, 森原 隆太, 山下 徹, 高尾 芳樹. 女性頭痛患者に対するアロマテラピーの有効性に関する研究. 日本頭痛学会誌,49:215―222, 2022.
- Ruifang Yuan, Dingkun Zhang, Jinhui Yang, Zhenfeng Wu, Chuanhong Luo, Li Han, Fangli Yang, Junzhi Lin, Ming Yang: Review of aromatherapy essential oils and their mechanism of action against migraines. J Ethnopharmacol. 2021 Jan 30;265:113326.
- Nazanin Hatami Bavarsad,a Shokufeh Bagheri,a Masoumeh Kourosh-Arami,b and Alireza Komakia.: Aromatherapy for the brain: Lavender’s healing effect on epilepsy, depression, anxiety, migraine, and Alzheimer’s disease: A review article. Heliyon. 2023 Aug; 9(8): e18492.
(文責:理事長 丹羽 直樹)