薬物乱用頭痛

薬物乱用頭痛とは、国際頭痛分類第3版では、月に15日以上の頭痛で3ヶ月を超えて鎮痛剤を飲んでいる状態と定義されています。

一方、慢性片頭痛とは、頭痛が月に15日以上の頻度で3ヶ月を超えて起こる状態とされています。

薬物乱用頭痛も慢性片頭痛も同様の基準となっているのです。

薬を中止して頭痛が起きる頻度は多少減ったものの、強い頭痛はなくならないケースがあります。

鎮痛剤を飲まざるを得なくなった元々の頭痛は、いったいどういう頭痛なのでしょうか?元の頭痛が何かという考察がなされていなければ、単に鎮痛剤を止めるだけでは解決になっていません。「薬物乱用頭痛」という種類の頭痛は存在しないという事です。

元々の頭痛の多くは片頭痛であり、慢性化した原因を突き止める必要があります。片頭痛を悪化させる様々な要因が分かっています。慢性片頭痛は、外部環境や生活習慣の問題により、脳内の痛みの伝達系に異常を生じている状態と考えられています。そもそも片頭痛ではない可能性も考える必要があります。

当頭痛外来の方針としては、問診を正確に行い、片頭痛を悪化させている要因を明らかにする事が第一段階と考えます。不安や精神的ストレスが片頭痛を悪化させている場合には、抗不安薬や抗うつ薬を用いたり、心療内科との連携をはかります。PCやスマートフォンの見過ぎや不規則な睡眠リズムなど生活習慣が原因であれば、改善するためのアドバイスを行い、補助的治療薬を処方します。

(文責:理事長 丹羽 直樹

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