水泳と頭痛の関連について解説します。
水泳と頭痛の症例1
30代前半の女性で、元々片頭痛がありました。
ある日プールで水泳をしていていました。ところが、いつもより強めに力を入れて泳いだところ、急に激しい頭痛を感じました。痛みはいったん治まり、この日は帰宅しました。さらに、同じ日の晩、性交の際に再び同様の強い頭痛が出現しました。
翌朝になっても頭痛は治らないため、当院を受診しました。
MRA検査では、
脳の血管が、まるでネックレスのような形に変化していました。
可逆性脳血管攣縮症候群として治療を開始しました。そして、2週間後には頭痛はほぼ消失しました。
水泳と頭痛の症例2
30代後半の男性で、10代の頃から片頭痛がありました。
スキューバダイビングをしていた時、突然割れるような激しい頭痛が出現しました。直ちに水から出て休んでいましたが、頭痛は続いていました。また、吐き気もありました。
翌日も後頭部から頭全体に拡がる痛みが続いていたため、当院を受診しました。
MRA検査を行いました。
脳動脈のいたる所に、収縮(青い矢印)と拡張(赤い矢印)を認めました。
さらに、MRI検査でも異常を認めました。
前頭部から頭頂部にかけて、脳表面にくも膜下出血を生じていました。
可逆性脳血管攣縮症候群では、血管壁の破綻によりくも膜下出血を伴う事があります。
水泳と頭痛との関連は、入浴やシャワーで起きる頭痛や筋トレ頭痛と共通の部分があります。水やお湯に浸かる事や、息を止めて力を入れるという動作です。つまり、いずれも可逆性脳血管攣縮症候群の誘因となります。
文献および参考
- Jong Sung Kim. Swimming Headache Followed by Exertional and Coital Headaches. Journal of Korean Science. 1992 Sep;7(3):276-279.
- K. Mizoguchi, H. Utsunomiya, H. Emoto, T. Shimizu. Benign Exertional Headaches Induced by Swimming. The Kurume Medical Journal. vol.37 1990:261-263.
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この記事は横浜脳神経内科医師が書いています。
資格
- 日本神経学会神経内科専門医・指導医
- 日本頭痛学会専門医・指導医
- 日本脳卒中学会専門医
- 日本内科学会認定内科医
- 身体障害者福祉法指定医
(肢体不自由、平衡機能障害、音声機能・言語機能障害、そしゃく機能障害、膀胱直腸機能障害)
略歴
- 1988年3月 千葉大学医学部卒業
- 1989年10月 松戸市立病院 救急部
- 1994年10月 七沢リハビリテーション病院
- 2002年4月 沼津市立病院 神経内科
- 2002年11月 長池脳神経内科開設
- 2012年11月 横浜脳神経内科開設