入浴やシャワーで頭痛

入浴やシャワーで頭痛が起きる原因と対策【専門医が解説】

入浴やシャワーは本来リラックスできる時間ですが、頭痛に悩む方も少なくありません。この記事では、入浴・シャワー後に頭痛が起きる原因自分でできる対策医療機関受診の目安まで、専門医が分かりやすく解説します。

 

入浴やシャワーで頭痛

 

入浴・シャワーで頭痛が起こる主な原因

  • 片頭痛:脳血管の拡張が原因。ズキズキと脈打つ痛みが特徴。入浴やシャワーで体温が上がって血管が拡張。
  • 可逆性脳血管攣縮症候群(入浴関連頭痛):交感神経の過剰反応で脳血管が収縮し、突然激しい頭痛が起こる。
  • その他の要因
    • ・血圧の急激な変動
    • ・自律神経の乱れ
    • ・疲労・睡眠不足・ストレス

 

症状チェックリスト

  • ・入浴・シャワー中または直後に頭痛が起きる
  • ・ズキズキ・脈打つような痛み
  • ・突然の激しい頭痛やめまいを伴う
  • ・通常の頭痛薬が効きにくい

 

実際の症例提示

40代後半の女性で、20代の頃から片頭痛がありました。

夜入浴しようと浴槽につかったところ、急に激しい頭痛が出現しました。翌日も軽い頭痛は続いていました。今度は、浴槽にはつからずシャワーを浴びた途端、再び前日と同様の強い頭痛に襲われました。

その後痛みは後頭部から頭全体に拡がりました。さらに、めまいも伴ってきたため当院を受診しました。

MRA検査では、

入浴やシャワーで頭痛

脳底動脈(A)や中大脳動脈(B)に、くびれた部分と膨らんだ部分とが生じています。このように、可逆性脳血管攣縮症候群では、脳血管に多発性に狭窄や拡張が見られます。

片頭痛の既往がある方が入浴中に突然激しい頭痛やめまいを感じた場合、MRA検査で脳血管の異常(狭窄や拡張)が見つかる事もあります。 可逆性脳血管攣縮症候群は放置すると脳梗塞やくも膜下出血など重大なリスクもあるため、早期診断が重要です。

 

自分でできる予防・対策

  1. ・頭痛を感じたらすぐに浴室から出て安静にする
  2. ・片頭痛の場合は痛む側の首を冷やす
  3. ・お湯の温度は38~40℃のぬるめに設定
  4. ・長時間の入浴を避ける
  5. ・入浴前後の水分補給をしっかり行う
  6. ・体調が悪い時や疲れている時は無理せず入浴を控える
  7. ・ストレスや生活習慣の見直しも大切
  8. ・浴室・脱衣所の温度差を減らす

 

医療機関受診の目安

以下のような場合は、早めに頭痛外来や脳神経内科を受診しましょう。

  • ・突然激しい頭痛が起きた
  • ・繰り返し強い頭痛やめまいを伴う
  • ・応急処置や市販薬で改善しない

 

よくある質問(Q&A)

Q1. 入浴やシャワーの後だけ頭痛が起きるのはなぜですか?

A1. 入浴やシャワーによる体温上昇や血管の拡張、自律神経の変化が引き金となり、片頭痛や可逆性脳血管攣縮症候群などの頭痛が起こりやすくなります。特に普段は頭痛がない方でも、体調やストレス、疲労などが重なると発症しやすくなります。

Q2. シャワーだけでも頭痛が起きるのはなぜですか?

A2. シャワーでもお湯に触れただけで交感神経が刺激され、脳血管の収縮が起きて、可逆性脳血管攣縮症候群を発症する事があります。

Q3. お湯の温度や入浴時間は頭痛に関係ありますか?

A3. 高温のお湯や長時間の入浴は、体温上昇により脳血管の拡張をきたして片頭痛を起こしやすくなります。一方、可逆性脳血管攣縮症候群の場合は、お湯との接触刺激がきっかけとなるため、お湯の温度や入浴時間とは関係ありません。

Q4. どんな時に医療機関を受診すべきですか?

A4. 突然激しい頭痛が起きた場合、繰り返す強い頭痛やめまいを伴う場合、応急処置や市販薬で改善しない場合は、早めに頭痛外来や脳神経内科を受診してください。

Q5. MRIやMRAで異常がないと言われましたが、今後どうすればいいですか?

A5. 検査で異常がなくても、生活習慣や入浴方法を見直すことで症状が改善する事があります。症状が続く場合や不安がある場合は、他の専門医を受診する事も検討しましょう。

Q6. 市販薬で頭痛が治らない場合はどうすればいいですか?

A6. 市販薬で効果がない場合や、頭痛が頻繁に起きる場合は、自己判断せず専門医に相談し、適切な診断と治療を受けてください。

Q7. 入浴後の頭痛を予防するために日常生活でできる事はありますか?

A7. 良質な睡眠、バランスの良い食事、適度な運動、ストレス管理、水分補給、入浴前後の体調チェック、浴室・脱衣所の温度差を減らす事が予防に役立ちます。

 

まとめ

入浴やシャワーで頭痛が起きる場合は、原因に応じた対策と医療機関の受診が大切です。 無理せず、症状が強い場合や繰り返す場合は早めに専門医へ相談しましょう。

 

文献

 

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この記事は横浜脳神経内科医師が書いています。

理事長 丹羽 直樹
理事長 丹羽 直樹

資格

略歴

  • 1988年3月 千葉大学医学部卒業
  • 1989年10月 松戸市立病院 救急部
  • 1994年10月 七沢リハビリテーション病院
  • 2002年4月 沼津市立病院 神経内科
  • 2002年11月 長池脳神経内科開設
  • 2012年11月 横浜脳神経内科開設
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