入浴やシャワーで頭痛

入浴やシャワーで頭痛を起こす原因と対策

入浴やシャワーはリラックスできる時間ですが、頭痛に悩まされる方も少なくありません。この記事では、入浴やシャワーで頭痛が起きる主な原因と対策を分かりやすく解説します。

 

入浴やシャワーで頭痛

 

Q1. 入浴やシャワーで頭痛が起きる原因は?

A1. 以下の可能性が考えられます。

片頭痛

片頭痛は脳血管の拡張によって起こります。したがって、入浴やシャワーで身体が暖まり血管が拡がって生じます。ズキンズキンと脈打つ痛みが特徴です。

可逆性脳血管攣縮症候群

可逆性脳血管攣縮症候群は、入浴やシャワーなどの刺激で交感神経が過剰に反応し、脳血管が収縮して起こる頭痛です。お湯に触れた直後に突然激しい頭痛が起こり、その後も断続的に痛みが続くことがあります。必ずしもお湯の温度やシャワーの水圧には関係しません。従来入浴関連頭痛と言われていた状態が該当します。1)2)3)

その他の原因

  • ・血圧の急激な変動
  • ・自律神経の乱れ
  • ・疲労や睡眠不足、ストレス

 

Q2. 診断は?

A2. 実際に当院を受診した症例を元に説明します。

40代後半の女性で、20代の頃から片頭痛がありました。

夜入浴しようと浴槽につかったところ、急に激しい頭痛が出現しました。翌日も軽い頭痛は続いていました。今度は、浴槽にはつからずシャワーを浴びた途端、再び前日と同様の強い頭痛に襲われました。

その後痛みは後頭部から頭全体に拡がりました。さらに、めまいも伴ってきたため当院を受診しました。

MRA検査では、

入浴やシャワーで頭痛

脳底動脈(A)や中大脳動脈(B)に、くびれた部分と膨らんだ部分とが生じています。このように、可逆性脳血管攣縮症候群では、脳血管に多発性に狭窄や拡張が見られます。

 

Q3. 自分でできる対策は?

A3. まずは以下の対策を行ってください。

  • ・頭痛が起きたらすぐに浴室から出て安全な場所で安静にしましょう。
  • ・片頭痛の場合は、痛みのある側の首の横を冷やすことで症状が和らぐことがあります。
  • ・水分補給をしっかり行い、無理のない入浴を心がけましょう。
  • ・お湯の温度はぬるめ(38~40℃)にし、長時間の入浴は避けてください。
  • ・体調が悪い時や疲れている時は、無理をせず入浴を控えましょう。

 

Q4. 医療機関受診の目安は?

A4. 以下の場合は専門医を受診してください。

  • ・突然激しい頭痛が起きた場合
  • ・繰り返し強い頭痛やめまいを伴う場合
  • ・首を冷やしても症状が改善しない場合

これらの場合は、早めに頭痛外来や脳神経内科を受診し、正確な診断を受けることが大切です。可逆性脳血管攣縮症候群は脳梗塞やくも膜下出血を合併することもあるため、放置しないよう注意しましょう。

 

文献

 

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この記事は横浜脳神経内科医師が書いています。

理事長 丹羽 直樹
理事長 丹羽 直樹

資格

略歴

  • 1988年3月 千葉大学医学部卒業
  • 1989年10月 松戸市立病院 救急部
  • 1994年10月 七沢リハビリテーション病院
  • 2002年4月 沼津市立病院 神経内科
  • 2002年11月 長池脳神経内科開設
  • 2012年11月 横浜脳神経内科開設
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