頭痛が1週間以上続く原因

頭痛が1週間以上続く場合の原因・対策・受診の目安

 

頭痛が1週間以上続く原因

 

1. 1週間以上続く頭痛とは?

頭痛が1週間以上続くと、「何か重大な病気では?」と不安になる方も多いでしょう。この記事では、1週間以上続く頭痛の主な原因、セルフケア、受診の目安について、わかりやすく解説します。

 

2. 1週間以上続く頭痛の主な原因と特徴

2-1. 一次性頭痛(他の病気がない頭痛)

片頭痛

  • 症状:頭の片側または両側がズキズキと痛む。吐き気や光・音への過敏を伴うことも。
  • 持続期間:数時間~3日、慢性化で1週間以上続くことも。
  • 誘因:ストレス、睡眠不足、ホルモン変化など。

 

緊張型頭痛

  • 症状:頭全体や後頭部が締め付けられるような鈍い痛み。
  • 持続期間:数時間~数日、慢性化で1週間以上続く場合も。
  • 誘因:長時間同じ姿勢、精神的ストレスなど。

 

群発頭痛

  • 症状:目の奥からこめかみにかけての激痛。涙や鼻水を伴うことも。
  • 持続期間:1回15分~3時間。群発期は数週間~数ヶ月続く。

 

2-2. 二次性頭痛(脳の病気による頭痛)

脳腫瘍

  • 症状:徐々に悪化する頭痛。朝方に強い。吐き気、手足のしびれ、意識障害などを伴うことも。

 

【症例報告】60代前半の男性。約1ヶ月前から右前頭部の重い感じの痛みがあり受診。頭痛は朝起きた時に強く感じる傾向がありました。

MRI検査では、

 

頭痛が1週間以上続く原因

 

右側頭葉に直径約6cmの脳腫瘍を認めました。

精密検査が必要であり、大学病院へ紹介、腫瘍の種類は悪性リンパ腫と診断され、化学療法を行いました。

 

脳脊髄液減少症

  • 症状:立ち上がると頭痛が強くなり、横になると軽減。

 

【症例報告】40代後半の女性で、元々片頭痛あり。約2週間前から後頭部の痛みがあり、立ち上がると痛みが強くなり、横になると治まるという特徴。片頭痛の痛み方とは違うと感じ受診。

MRI検査では、

 

頭痛が1週間以上続く原因

小脳扁桃という部分が若干下に下がっている所見を認めました。

立つと痛みが強くなり、横になるとなくなるという特徴とこの所見から、脳脊髄液減少症と診断。この疾患は、脳脊髄液が足りなくなるため、脳が後ろに引っ張られて後頭部の痛みを生じます。脳脊髄液が減る原因を調べるため、大学病院へ紹介。

 

可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)

  • 症状:突然の激しい頭痛(雷鳴頭痛)。発作が繰り返され、1週間以上続くことも。
  • 誘因:排便、運動、入浴、強い感情など。
  • 注意点:片頭痛薬(トリプタン)は逆効果になることも。

 

【症例報告】40代前半の女性で、20代の頃から片頭痛あり。 朝トイレで排便後、後頭部の激しい頭痛が出現。翌朝軽くなったものの、まだ痛みは持続。さらに、後頭部だけでなく頭全体がズキンズキンと脈打つように痛くなりました。トリプタンを飲んでも効かない状態。

そして、その後も頭痛は続き7日経過。今まで片頭痛の時は3日以内に治まっており、これ程長く続く頭痛は今までなく受診。

MRA(MRIを使った脳血管の撮像)では、

 

頭痛が1週間以上続く原因

 

脳の血管が収縮して細くなった部分があり、可逆性脳血管攣縮症候群と診断。血管がけいれんして縮む状態で、トリプタンではさらに血管を縮めてしまい、全く効果はなく悪化する場合もあります。したがって、可逆性脳血管攣縮症候群では、血管を拡張する薬で治療します。また、痛みを脳に伝える三叉神経や交感神経が過敏な状態でもあり、これらを抑える薬を治療に加える事があります。当院では、片頭痛の予防にも使われる抗てんかん薬(バルプロ酸)やβ遮断薬(プロプラノロール)を必要に応じて同時に用いています。

可逆性脳血管攣縮症候群による頭痛は、通常1ヶ月位で自然に回復してきます。しかし、少しでも早くに正しく診断し、痛みを取る治療を行う事が大事です。

 

その他(二次性頭痛)

  • 副鼻腔炎、緑内障、側頭動脈炎なども長引く頭痛の原因となることがあります。

 

3. 1週間以上続く頭痛のセルフチェックとセルフケア

3-1. セルフチェックリスト

  • ・いつもと違う痛み方や強さがある
  • ・吐き気・嘔吐・しびれ・言語障害などを伴う
  • ・市販薬が効かない
  • ・生活に支障が出ている

 

3-2. セルフケアのポイント

  • ・規則正しい睡眠・食事・水分補給
  • ・ストレスをためない、適度な運動・ストレッチ
  • ・体を温める・静かな暗い場所で休む
  • ・市販薬は用法・用量を守り、連用しすぎない
  • ・頭痛日記をつけて症状を記録する

 

4. 危険な頭痛のサインと受診すべきタイミング

  • ・これまで経験したことのない激しい頭痛
  • ・吐き気や嘔吐、手足のしびれ、言語障害、意識障害
  • ・朝方に痛みが強い、日常生活に支障が出る
  • ・薬が効かない、症状が悪化する

これらの症状がある場合は、できるだけ早く医療機関(頭痛外来・脳神経内科)を受診しましょう。 医療機関では、MRIやCTなどの画像検査、血液検査などが行われ、必要に応じて専門的な治療が始まります。

 

5. よくある質問(Q&A)

Q1. 頭痛が1週間続くのはよくあること?
A1. 片頭痛や緊張型頭痛が慢性化すると長引くこともありますが、急な変化や症状の悪化があれば早めに受診しましょう。

Q2. 市販薬が効かない場合は?
A2. 薬の効きが悪い、量が増えている場合は薬物乱用頭痛や他の病気の可能性もあるため受診をおすすめします。

Q3. どんな検査をするの?
A3. 主にMRIやCTなどの画像検査、必要に応じて血液検査などを行います。

Q4. セルフケアだけで大丈夫?
A4. セルフケアで改善しない、症状が悪化する場合は医療機関に相談しましょう。

 

6. まとめ

  • ・1週間以上続く頭痛は、一次性頭痛だけでなく重大な病気が隠れていることもあります。
  • ・セルフケアで改善しない場合や危険なサインがあれば、早めに医療機関を受診しましょう。
  • ・正しい知識と適切な対応で、安心して毎日を過ごしましょう。

 

文献

 

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この記事は横浜脳神経内科医師が書いています。

理事長 丹羽 直樹
理事長 丹羽 直樹

資格

略歴

  • 1988年3月 千葉大学医学部卒業
  • 1989年10月 松戸市立病院 救急部
  • 1994年10月 七沢リハビリテーション病院
  • 2002年4月 沼津市立病院 神経内科
  • 2002年11月 長池脳神経内科開設
  • 2012年11月 横浜脳神経内科開設
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