更年期の頭痛についての解説と対策
更年期になると、今までなかった頭痛に悩まされる方が増えます。「年齢のせい?」「大きな病気では?」と不安に感じていませんか?
この記事では、頭痛専門医の視点から、更年期に起こる頭痛の特徴・原因・セルフケア・治療・受診の目安まで、患者さんが安心して対処できるよう分かりやすく解説します。

更年期で増える頭痛の種類と特徴
更年期に多い頭痛は「片頭痛」「緊張型頭痛」「薬剤誘発性頭痛」などがあります。症状や対処法はタイプによって異なります。自己判断せず、まずは正しい知識を身につけましょう。
- 片頭痛:片側または両側がズキズキ痛む。光や音、においに敏感になり、吐き気を伴う事もあります。
- 緊張型頭痛:頭全体が締め付けられるような鈍い痛み。肩こりや首こりを感じやすいです。
- 薬剤誘発性頭痛:鎮痛薬の使いすぎが原因で慢性的に痛む。
- 危険な頭痛(二次性頭痛):突然の激しい痛み、手足のしびれ・麻痺、視覚異常などはすぐ受診してください。
更年期頭痛の主な原因を正しく知ろう
- 女性ホルモン(エストロゲン)減少:ホルモンバランスの乱れが片頭痛を悪化させる事もあります。
- 自律神経の乱れ・ストレス:精神的な負担や生活の変化が頭痛の引き金になります。
- 生活習慣の影響:睡眠不足、運動不足、姿勢の悪さなども頭痛を招きます。
専門医からのアドバイス
原因を知る事で、最適な対処や予防につながります。自己流で悩まず、分からない事は専門医に相談しましょう。
専門医が勧めるセルフケア・予防法
- 生活リズムを整える:毎日同じ時間に寝起きし、バランスの良い食事を心がけましょう。
- 適度な運動・ストレッチ:ウォーキングや軽い体操、ヨガなどで血行促進。
- ストレス対策:趣味やリラクゼーションの時間を意識的に作る。
- 頭痛タイプ別セルフケア:
- 片頭痛:痛む側の首を冷やし、暗く静かな場所で休む
- 緊張型頭痛:首や肩を温め、ストレッチやマッサージ
- ツボ押しやヨガ:無理のない範囲で取り入れましょう。
注意: セルフケアで改善しない場合や、症状が強い場合は早めに専門医を受診してください。
治療法と受診の目安
- 市販薬・漢方薬・サプリメント:用法容量を守り、長期連用は避けましょう。
- ホルモン補充療法(HRT):医師とよく相談し、メリット・デメリットを理解した上で検討。
- 受診すべき症状:今までにない激しい痛み、急な発症、手足のしびれ・麻痺、視覚異常、意識障害などがある場合は、すぐに医療機関を受診してください。
よくある質問(Q&A)
Q1. 更年期の頭痛はどれくらい続きますか?
A1. 個人差はありますが、更年期のホルモンバランスが安定する閉経後には、頭痛が軽くなる方が多いです。ただし、症状が長引く場合や悪化する場合は、他の病気の可能性もあるため医師の診断を受けましょう。
Q2. 市販薬や漢方薬を使っても大丈夫ですか?
A2. 軽い頭痛であれば市販薬や漢方薬を用法・用量を守って短期間使うのは問題ありません。ただし、長期間の連用や効かない場合は自己判断せず、医師に相談しましょう。薬剤の使い過ぎによる「薬剤誘発性頭痛」にも注意が必要です。
Q3. 更年期の頭痛に効果的な生活習慣は?
A3. 規則正しい生活リズム、充分な睡眠、バランスの良い食事、適度な運動、ストレスを溜めない工夫が効果的です。自分に合ったリラックス法や趣味の時間を持つ事も、頭痛の予防や緩和につながります。
Q4. 更年期の頭痛はどのタイミングで受診すべきですか?
A4. 今までにない激しい痛み、急な発症、手足のしびれや麻痺、視覚異常、意識障害、吐き気や嘔吐を伴う場合は、早めに医療機関を受診してください。また、市販薬やセルフケアで改善しない、頭痛が頻繁に起こる、日常生活に支障が出る場合も受診をお勧めします。
Q5. ホルモン補充療法(HRT)は頭痛に効きますか?
A5. ホルモン補充療法は更年期症状の緩和に有効な場合がありますが、片頭痛のある方は慎重に検討する必要があります。治療の適応やリスクについては必ず医師と相談してください。
Q6. どんなセルフケアが向いていますか?
A6. 片頭痛は静かな暗い場所で休み、痛む部分を冷やすのが有効です。緊張型頭痛には首や肩を温めたり、ストレッチやマッサージ、ツボ押し、ヨガなどの軽い運動が効果的です。自分の頭痛タイプに合わせたケアを心がけましょう。
まとめ:専門医と一緒に更年期頭痛と向き合おう
更年期の頭痛は正しい知識とセルフケアで軽減できますが、我慢しすぎず、困った時は専門医に相談しましょう。自分に合った方法で、前向きに更年期を乗り越えていきましょう。
参考
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この記事は横浜脳神経内科医師が書いています。
資格
- 日本神経学会神経内科専門医・指導医
- 日本頭痛学会専門医・指導医
- 日本脳卒中学会専門医
- 日本内科学会認定内科医
- 身体障害者福祉法指定医
(肢体不自由、平衡機能障害、音声機能・言語機能障害、そしゃく機能障害、膀胱直腸機能障害)
略歴
- 1988年3月 千葉大学医学部卒業
- 1989年10月 松戸市立病院 救急部
- 1994年10月 七沢リハビリテーション病院
- 2002年4月 沼津市立病院 神経内科
- 2002年11月 長池脳神経内科開設
- 2012年11月 横浜脳神経内科開設
