緊張型頭痛の全て:原因・症状・治し方・セルフケア・予防法|専門医が解説
「その頭痛、我慢していませんか?」 この記事では、緊張型頭痛の症状・原因から、今すぐできる対策、受診の目安までを徹底解説。 セルフチェック・Q&Aで、あなたの疑問・不安をす全て解消します。
まずはセルフチェック!あなたの頭痛は緊張型?
- ・頭全体が重い・締め付けられるような痛み
- ・肩や首のこりを感じる
- ・長時間同じ姿勢・パソコン作業が多い
- ・痛みは我慢できる程度(吐き気や嘔吐はない)
- ・ストレスを感じやすい
2つ以上当てはまれば、緊張型頭痛の可能性があります。
緊張型頭痛とは?
緊張型頭痛は、現代人に最も多い頭痛です。「ストレスや筋肉のこり」が主な原因で、日常のちょっとした工夫で大きく改善できます。
国際頭痛分類第3版による緊張型頭痛の定義を示します。
ICHD-3:緊張型頭痛(Tension-type headache) — 基本定義
持続時間:30分〜7日間。
以下の条件を満たす頭痛発作を指します(診断には下記の 特徴のうち少なくとも2項目 と、さらに 両方 を満たすことが求められます)。
主要特徴(うち2つ以上)
- 両側性(頭の両側に生じる事が多い)
- 締め付けられる・圧迫されるような非拍動性の痛み
- 軽度〜中等度の強さ
- 日常的な身体活動(歩行・階段昇降など)で悪化しない
随伴症状(以下の両方)
- 悪心・嘔吐は認めない(食欲不振は可)
- 光過敏(フォトフォビア)または音過敏(フォノフォビア)があっても、片方のみである事
原因・誘因|あなたの頭痛の「きっかけ」は?
- ・長時間のパソコン・スマホ作業
- ・猫背や悪い姿勢
- ・精神的ストレス(仕事・人間関係)
- ・睡眠不足・運動不足
- ・天候や気圧の変化
症状の特徴と見分け方
- ・鈍い痛み・締め付け感が続く
- ・肩こり・首こりを伴うことが多い
- ・吐き気や強い光・音への過敏は少ない
- ・数時間~数日続く事もある
診断・他の頭痛との違い
医師による問診・診察が基本です。必要に応じてCTやMRI検査も行います。片頭痛や群発頭痛など、他の頭痛との違いを知る事も大切です。
緊張型頭痛と片頭痛の比較表
| 項目 | 緊張型頭痛(TTH) | 片頭痛(Migraine) |
|---|---|---|
| 痛みの強さ | 軽度〜中等度 | 中等度〜重度 |
| 痛みの性質 | 締め付けられるような痛み(非拍動性) | 脈打つような痛み(拍動性) |
| 痛みの部位 | 両側性が多い | 片側が多い(両側もあり) |
| 悪化因子 | 日常動作で悪化しない | 動作で悪化(階段昇降など) |
| 随伴症状 | 光過敏・音過敏はあっても片方のみ、悪心/嘔吐なし | 悪心・嘔吐、光過敏+音過敏ありやすい |
| 持続時間 | 30分〜7日 | 4〜72時間 |
| 前兆 | なし | あり(約20〜30%) |
| 主な改善策 | ストレッチ・入浴・リラクゼーション | 暗く静かな場所で休む、トリプタンなど |
| 生活への影響 | 比較的軽度、慢性化しやすい | 重度で生活への支障大 |
今すぐできる!セルフケア・対処法
- ・こまめな休憩・正しい姿勢を意識
- ・肩や首のストレッチ・マッサージ
- ・充分な睡眠・バランスの良い食事
- ・深呼吸・瞑想・趣味の時間でストレス発散
- ・市販の鎮痛薬(使い過ぎに注意)
再発・慢性化を防ぐ予防策
- ・頭痛日記で発症パターンを知る
- ・生活習慣の見直し(姿勢・運動・睡眠)
- ・ストレスマネジメントを習慣に
薬の使い方・注意点
- ・鎮痛薬の使い過ぎは薬物乱用頭痛のリスク
- ・週に何度も薬が必要な場合は必ず医師へ
- ・効きにくい・症状が変化した場合も受診を
受診の目安|我慢しないで相談を
- ・頭痛が頻繁・長期間続く
- ・今までにない強い痛みや、症状の変化がある
- ・市販薬で改善しない/日常生活に支障が出る
よくある質問(Q&A)
Q1. 緊張型頭痛の原因は何ですか?
A1. 長時間の同じ姿勢、肩や首の筋肉のこり、ストレス、睡眠不足などが主な原因です。
Q2. 緊張型頭痛はどうやって治せますか?
A2. 姿勢の改善、こまめな休憩、ストレッチやマッサージ、充分な睡眠、ストレス解消が効果的です。市販の鎮痛薬も一時的に有効ですが、使い過ぎには注意しましょう。
Q3. 緊張型頭痛に即効性のある対処法はありますか?
A3. 首や肩を温める・ストレッチする・静かな場所で深呼吸する・短時間横になる、などが即効性のある対処法です。
Q4. 緊張型頭痛と片頭痛の違いは?
A4. 緊張型頭痛は鈍い痛みや締め付け感が特徴で、吐き気や強い光・音への過敏は少ないです。片頭痛はズキズキした痛みや吐き気・光や音への過敏を伴います。
Q5. どんな時に病院を受診すべきですか?
A5. 頭痛が頻繁・長期間続く、症状が急に変化した、今までにない強い痛み、市販薬で改善しない場合は医師に相談しましょう。
Q6. 鎮痛薬はどのくらいまで使っていいですか?
A6. 週に2回以上必要な場合や、薬が効きにくくなってきた場合は、薬物乱用頭痛のリスクがあるため医師にご相談ください。
Q7. 緊張型頭痛は子どもや高齢者にも多いですか?
A7. 年齢を問わず発症しますが、特に成人に多い傾向があります。子どもや高齢者でも発症する事があります。
Q8. 緊張型頭痛と片頭痛は同時に起こる事がありますか?
A8. 併発することもあります。症状が複雑な場合は、医師の診断を受けるのが安心です。
Q9. 生活習慣で気をつけるべき事は?
A9. 姿勢を正す、適度な運動、充分な睡眠、バランスの良い食事、ストレスマネジメントを心がけましょう。
まとめ|あなたの頭痛対策、今日から始めましょう
緊張型頭痛は、正しい知識と日々の工夫で必ず改善できます。「頭痛くらい…」と我慢せず、気になる症状があれば専門医にご相談ください。
参考
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この記事は横浜脳神経内科医師が書いています。
資格
- 日本神経学会神経内科専門医・指導医
- 日本頭痛学会専門医・指導医
- 日本脳卒中学会専門医
- 日本内科学会認定内科医
- 身体障害者福祉法指定医
(肢体不自由、平衡機能障害、音声機能・言語機能障害、そしゃく機能障害、膀胱直腸機能障害)
略歴
- 1988年3月 千葉大学医学部卒業
- 1989年10月 松戸市立病院 救急部
- 1994年10月 七沢リハビリテーション病院
- 2002年4月 沼津市立病院 神経内科
- 2002年11月 長池脳神経内科開設
- 2012年11月 横浜脳神経内科開設

