光過敏性頭痛の原因・対策・日常でできるセルフケア
光の眩しさやブルーライトで頭痛が悪化する―そんな悩みを抱えていませんか?この記事では光過敏性頭痛の原因や仕組み、日常でできる具体的な対策、受診の目安まで、専門医監修のもと分かりやすく解説します。
光過敏性頭痛とは
光過敏性頭痛とは、太陽光や室内照明、パソコンやスマートフォンの画面など、日常的な「光の刺激」によって引き起こされる頭痛の事です。これは片頭痛であり、特に現代の生活環境では増加傾向にあります。
光が頭痛を引き起こす仕組み
強い光やブルーライトは、目から脳への神経を刺激し、脳の興奮や自律神経の乱れを招きます。これが頭痛の発症や悪化につながります。特に片頭痛体質の方は、光や音などの刺激に敏感な傾向があり、痛みに対しても過敏な状態となります。
ブルーライトについて
ブルーライト研究会によると、ブルーライトとは、人の目で見る事のできる光(可視光線)の中で最も波長が短く、強いエネルギーを持っているとされています。つまり、高エネルギー可視光線(High Energy Visible Light)の事で、紫外線に近いものです。

こうした低波長光は目を痛め、脳を興奮状態にします。また、脳内にある体内時計を狂わせて不眠症の原因ともなります。さらに、それが片頭痛を悪化させるという悪循環になります。
液晶ディスプレイは、透過型液晶というLEDをバックライトにしている製品が主流です。LED照明の部屋で長時間パソコンを見て仕事をしているために、元来の片頭痛を悪化させるだけでなく、元々片頭痛の体質ではなかった方をも片頭痛にさせてしまう事があります。
なお、厚生労働省の平成20年技術革新と労働に関する実態調査を基に作られたガイドラインでも、1時間パソコン作業を行った際には15分間休憩を取るよう推奨されています。
また、寝る前にスマートフォンを長時間見る習慣もお勧めできません。
症状の特徴とよくある訴え
・光が眩しいと頭痛がする
・目の奥やこめかみ、頭全体が痛む
・音や臭いにも敏感になる
・吐き気や集中力低下を伴う事もある
日常生活でできる対策
【照明・室内環境】
・暖色系の照明や、必要最小限の明るさに調整
・蛍光灯や白熱電球の利用、カーテンで光を調節【デジタルデバイス】
・ブルーライトカット機能の活用
・画面の明るさを下げる、画面との距離を離す
・1時間ごとに15分の休憩を取る具体的な方法は、こちらをご参照ください。
【太陽光対策】
・サングラスや帽子の着用
・外出時は日差しの強い時間帯を避ける【生活習慣】
・十分な睡眠と規則正しい生活
・適度な運動やリラクゼーションでストレスを軽減
セルフケアと頭痛管理のポイント
・頭痛日記をつけて発症状況を記録
・痛みが強い時は無理せず休息
・市販のブルーライトカットグッズや遮光眼鏡の活用
専門医に相談すべきタイミング
・日常生活に支障が出るほど頭痛が続く
・セルフケアや市販薬で改善しない
・吐き気、発熱、視界異常など他の症状を伴う場合
よくある質問(Q&A)
Q1. どんな時に光過敏性頭痛を疑うべきですか?
A1. 日常生活で、太陽光や室内の照明、パソコン・スマートフォンの画面などの光を浴びた時、頭痛や目の奥の痛み、眩しさを強く感じる場合は光過敏性頭痛の可能性があります。特に、光を避けたくなったり、暗い部屋で症状が和らぐ場合は注意が必要です。
Q2. どのような対策が最も効果的ですか?
A2. 光刺激を減らす事が大切です。ブルーライトカットの眼鏡や画面設定、照明の色や明るさの調整、サングラスや帽子の着用などが効果的です。また、充分な休息や規則正しい生活も頭痛予防につながります。
Q3. どんな場合に受診すべきですか?
A3. セルフケアや市販薬で改善しない場合、日常生活に支障が出るほど頭痛が続く場合、または吐き気・発熱・視界異常など他の症状を伴う場合は、早めに専門医(脳神経内科や頭痛外来)を受診しましょう。
Q4. 目の病気が隠れている事もありますか?
A4. ドライアイや白内障、虹彩炎、ぶどう膜炎などの目の病気が原因で光に過敏になる事もあります。光に対して異常に敏感な場合や、視力低下・充血・飛蚊症などの症状がある場合は、眼科での診察も検討してください。
まとめ
光過敏性頭痛は片頭痛であり、日常のちょっとした工夫やセルフケアで症状を軽減できる事が多いですが、症状が強い場合は無理せず専門医に相談しましょう。自分に合った対策で、快適な毎日を目指しましょう。
参考
・厚生労働省:情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン
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この記事は横浜脳神経内科医師が書いています。
資格
- 日本神経学会神経内科専門医・指導医
- 日本頭痛学会専門医・指導医
- 日本脳卒中学会専門医
- 日本内科学会認定内科医
- 身体障害者福祉法指定医
(肢体不自由、平衡機能障害、音声機能・言語機能障害、そしゃく機能障害、膀胱直腸機能障害)
略歴
- 1988年3月 千葉大学医学部卒業
- 1989年10月 松戸市立病院 救急部
- 1994年10月 七沢リハビリテーション病院
- 2002年4月 沼津市立病院 神経内科
- 2002年11月 長池脳神経内科開設
- 2012年11月 横浜脳神経内科開設

