治療の流れにつき、説明します。
1.問診
当院で最も重視しているのは問診です。問診と神経学的診察を行い、そこで想定される原因をもとにMRI検査を行います。
実はほとんどの場合、MRI検査の前にある程度診断はついています。その推測に合わせて検査方法を決めるのです。具体的な検査方法については、次の「オーダーメイドの検査」で詳しく説明します。
頭痛の原因は、パターン化した考え方では解明できません。
様々な本やサイトには、頭痛の中で最も多いのは肩こりが原因の「緊張型頭痛」であると書かれています。
しかし、肩こりが原因で頭痛が起きるという医学的根拠はありません。
当院では、片頭痛が疑われる場合には、片頭痛の特徴を意識して系統的に問診を行います。自分でも気が付いていない特徴もあるので、必要な情報を聞き出し診断しています。
どこが、どのように痛むのか。症状がいつから始まったのか。どのような経緯をたどってきているか…。場合によっては身体を動かしてもらったりもして、そこから推測される原因に合わせて検査の方法を考えます。
2.検査
脳の病気ではないか見極めるため、当院では問診後すぐにMRI検査を行っています。
問診から想定される原因をもとにMRI検査の方法を変えています。医師が問診の結果をMRI検査技師に伝え、疑わしい症状があれば、それが描出されるように検査を行います。
問診の段階で、ある程度診断はついています。その推測を裏付けるためにMRI検査をしているといえます。こうしたプロセスをとっているのは、少しでも正確な診断と治療に近づけるためにほ他なりません。
3.診断
問診で頭痛の原因を推測し、MRI検査で推測の裏付けをとり、診断を行う。これが診断までの治療の流れですが、実際には単純な一本の流れで進むわけではありません。
MRI撮像の際には、推測される原因、重点的に撮って欲しい箇所などを医師からMRI検査技師に伝えます。逆に、検査中に技師からみて気になる箇所があれば、その意見は医師に伝えられます。
画像診断の際、診断困難な場合、当院では複数の専門医がダブルチェックを行い、誤診をできるだけ減らすよう努力しています。
治療の細かな流れは1人ひとりの症状によって異なりますが、こうしたプロセスを経て、診断に至るのです。
4.説明
多くの患者さんが、「頭痛の原因が知りたい」と言って当院を訪れます。
一時的に症状が治まっていても、頭痛の原因がわからなければ不安が残るのではないでしょうか?
当院が心がけているのは、「不安を安心に変える」ことです。
そのためには、まず危ない頭痛を見分ける事が最優先です。次に重要な事は、ていねいに説明することだと考えています。
安心できる説明をして、「ここへきて良かった」と言ってもらえる事が医療従事者のやりがいだからです。
5.治療
当院では、片頭痛だからこの薬、というようなパターン化した治療は行いません。一見同じような頭痛でも、これまでの経緯や体質などで選ぶ薬は変わります。また、片頭痛はもともとの体質もありますが、生活習慣や環境で改善できる部分もあるので、そのアドバイスも行っています。
照明をLEDから暗めの白熱灯にする、液晶画面を暗めに設定するなどの工夫によって、片頭痛の症状が軽くなったという研究データもあります。
(参考)
(文責:理事長 丹羽 直樹)