咳で頭痛

咳で頭痛が起きる原因には、以下のような事が考えられます。

咳で頭痛

一次性咳嗽性頭痛

咳をした際に突発的に現れ、数分以内に収まる事が多いです。特に、咳が続く場合に頻繁に見られます。

診断基準は、国際頭痛分類第三版によると以下のようになります。

A. B および C を満たす頭痛
B. 突発性に起こり、1秒〜30分間持続する
C. 咳、息み、ヴァルサルヴァ手技のいずれか(あるいはそれらの組み合わせ)に伴ってのみ誘発される
D. その他の疾患によらない

治療としては、インドメタシンが有効であるとされています。

 

副鼻腔炎

副鼻腔炎も咳と頭痛の原因となる事があります。炎症による神経の圧迫により、頭痛を引き起こします。そして、この場合、鼻づまりや顔面の痛みも伴う事が一般的です。

 

アレルギー

アレルギー反応も咳と頭痛を引き起こす要因となります。特に、花粉症やハウスダストアレルギーなどがある場合、咳が出ると同時に頭痛が生じる事があります。

アレルギー自体が片頭痛を悪化させる場合もあります。

 

咳で頭痛をきたした症例1

元々片頭痛のある30代女性で、風邪を引いて咳が続いていました。

強く咳をした後、後頭部の激しい痛みに襲われました。さらに、その後も咳で頭痛が起こるようになりました。数日間で風邪の症状は治まりました。しかし、依然として頭痛は続いており、風邪にしてはおかしいと思い当院を受診しました。

頭部MRA検査で脳の血管を撮影しました。

咳で頭痛

血管に、くびれた部分と膨らんだ部分とが見られました。

したがって、症状の経過と画像所見から、可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)と診断しました。

 

咳で頭痛をきたした症例2

元々片頭痛のある40代女性です。

花粉症のため、鼻水やくしゃみで悩まされていました。強く鼻をかんだところ、突然後頭部の激しい痛みに襲われました。また、くしゃみをすると頭痛はさらに強くなりました。 その後も断続的に頭痛が続くようになったため、当院を受診しました。

頭部MRA検査で脳の血管を見てみました。

咳で頭痛

血管が点々と途切れたような状態を認めました。

この所見から可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)と診断しました。 咳で頭痛が起きるだけでなく、鼻を強くかんだり、くしゃみをしても誘因となります。   ちなみに、Mayo Clinicの解説では、咳で頭痛が起きる場合を一次性咳嗽性頭痛と二次性咳嗽性頭痛とに分けています。 一方、国際頭痛分類第三版では、一次性咳嗽性頭痛の特徴を以下のように述べています。

  • ・咳やいきみで誘発される
  • ・突発的に起きる
  • ・通常両側性で後頭部に多い

そして、治療としてはインドメタシンが有効とされています。 この特徴を考えると、まさに可逆性脳血管攣縮症候群の特徴に一致します。つまり、咳で頭痛が起きる原因の多くは可逆性脳血管攣縮症候群と思われます。 こうした観点から、当院では治療としてインドメタシン同様の薬を用いています。(現在、インドメタシンの内服薬はありません)

 

対策

咳で頭痛が起きる原因の対策としては、以下の方法が有効です。

適切な水分補給

水分をしっかりと摂る事で、喉の乾燥を防ぎ、咳を軽減する事ができます。

医療機関の受診

咳が長引く場合や、頭痛が頻繁に起こる場合は、専門医の診察を受ける事が重要です。特に、咳が続く原因が他の病気が原因である可能性があるため、適切な診断と治療が必要です。

受診すべき診療科

咳と頭痛がある場合、受診する診療科についても考慮が必要です。咳が続く場合は呼吸器内科、また、頭痛が主な症状であれば専門医を受診する事が大事です。

横浜脳神経内科では、日本頭痛学会専門医が診療を行っています。心配な方は、ご相談ください。

 

参考および文献

 

(文責:横浜脳神経内科 理事長 丹羽 直樹

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