新横浜駅から11分、東京駅から26分
/ 神奈川・横浜 横浜駅より徒歩5分

045-620-8920

【受付時間】月~土 10:00~12:00, 14:00~17:00

当院は『完全予約制』です。

頭痛コラム

  • 薬物乱用頭痛と慢性片頭痛

    監修:横浜脳神経内科 丹羽直樹医師(日本神経学会専門医)
    投稿日:2021年10月20日|最終更新日:2026年3月1日

    薬物乱用頭痛と慢性片頭痛は違うもの?

    薬物乱用頭痛は、頭痛薬の使い過ぎが原因で頭痛が慢性化した状態とされています。この記事では、慢性片頭痛との比較を通じて薬物乱用頭痛の症状や見分け方、治療・予防のポイント、慢性片頭痛との違いまで、専門医の視点から詳しく解説します。

    薬物乱用頭痛と慢性片頭痛

     

    主な症状とセルフチェックリスト

    • 頭痛が毎日または頻繁に起こる
    • 朝方や起床時に頭痛が強い
    • 以前より頭痛薬が効きにくい
    • 頭痛の性質や部位が日によって違う

    比較項目 慢性片頭痛 薬物乱用頭痛
    頭痛の頻度 月に15日以上の状態が3ヶ月以上続く 月に15日以上の状態が3ヶ月以上続く
    片頭痛の要件 月15日の内、少なくとも8日は片頭痛の特徴を持つ 特に規定なし
    薬剤の使用 特に規定なし 急性期薬を定期的かつ過剰に使用
    乱用の目安 なし ・トリプタン等:10日/月以上
    ・市販鎮痛薬等:15日/月以上
    診断のポイント 脳が過敏になっている 痛みの閾値が下がり悪循環

    出典:国際頭痛分類第3版(ICHD-3)を元に作成

    専門医による診断のポイント

    臨床現場では、以下のステップに沿って診断・鑑別を行います。特に「二重診断(両方の基準を満たす)」となる患者さんが多いのが特徴です。

    1. 頭痛カレンダーの分析

    まず、単純に「頭が痛い日」が月に何日あるかを数えます。15日を超えている場合、それは「慢性片頭痛」の範疇に入ります。

    2. 薬を飲んでいる日数のチェック

    次に、1ヶ月に何回痛み止めを飲んでいるかを正確に把握します。市販薬(イブやロキソニン等)を「毎日飲まないと不安」という状態は、薬物乱用頭痛のリスクが非常に高いと言えます。

    3. 片頭痛の特徴の有無

    「強い光が眩しい」「吐き気がする」「ズキズキと脈打つ」といった片頭痛特有の症状が、月の半分以上(8日以上)あるかどうかを確認します。

    自分自身の頭痛がどちらに当てはまるか不安な場合は、頭痛専門医の在籍する頭痛外来への受診をお勧めします。

    原因とリスク要因

    薬物乱用頭痛の主な原因は「頭痛薬の使い過ぎ」です。特に以下の薬剤で起こりやすいとされています。

    • 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs:ロキソプロフェン、イブプロフェンなど)
    • トリプタン製剤
    • エルゴタミン製剤
    • 複合鎮痛薬(カフェイン入りなど)

    リスクが高まるケース

    • 片頭痛や緊張型頭痛が元々ある
    • 市販薬を自己判断で長期間使用している
    • 頭痛が不安で予防的に薬を飲んでしまう

    治療法と治療の流れ

    1. 原因薬剤の中止(急激にやめる方法と、徐々に減らす方法がある。医師の指導のもとで行う)
    2. 離脱症状の対処(中止後1~2週間は頭痛が悪化することがある。必要に応じて予防薬や補助療法を使用)
    3. 予防薬・補助療法(抗うつ薬や漢方薬など、頭痛の再発を防ぐ薬を使う場合も)
    4. 再発予防のポイント(自己判断による乱用を避け、定期的な医療機関でのフォローが大切)

    予防と再発防止のためにできること

    • 頭痛薬は必要最小限の回数にとどめる
    • 頭痛ダイアリーで自分の頭痛パターンを把握する
    • 規則正しい生活と充分な睡眠
    • ストレス管理やデジタル機器の使い過ぎに注意

    Q&A:よくある質問

    Q1. 薬物乱用頭痛はどんな人に多いですか?

    A1. 薬物乱用頭痛は、元々片頭痛や緊張型頭痛がある人に多く見られます。特に、市販薬や処方薬を自己判断で長期間・頻繁に使っている場合にリスクが高まります。

    Q2. 薬物乱用頭痛と普通の頭痛はどう違いますか?

    A2. 普通の頭痛は一時的な事が多いですが、薬物乱用頭痛は薬の使い過ぎによって頭痛が慢性化し、薬を飲んでも効きにくくなります。また、頭痛の頻度や性質が変化する事も特徴です。

    Q3. どんな薬で薬物乱用頭痛が起こりやすいですか?

    A3. 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、トリプタン製剤、エルゴタミン製剤、市販の複合鎮痛薬(カフェイン入りなど)で起こりやすいとされています。

    Q4. 薬物乱用頭痛はどうやって治しますか?

    A4. 治療の基本は、原因となっている頭痛薬の使用を中止または減量する事です。急にやめる場合と徐々に減らす場合があり、医師の指導の基で行います。必要に応じて予防薬や補助療法も使います。

    Q5. 薬物乱用頭痛は再発しますか?

    A5. 薬物乱用頭痛は再発しやすい傾向があります。再発予防のためには、薬の使い方を見直し、頭痛ダイアリーで記録をつける事や、定期的に医療機関でフォローを受ける事が大切です。

    Q6. 早めに受診した方がいいのはどんな時?

    A6. 「頭痛薬を飲む回数が増えてきた」「薬が効きにくい」「頭痛が毎日のように続く」と感じたら、早めに専門医に相談しましょう。早期発見と治療が改善への近道です。

    慢性片頭痛との関係・当院の見解

    薬物乱用頭痛も慢性片頭痛も同様の基準となっています。

    当院の経験では、実際には薬を中止後頭痛の頻度は多少減ったものの、強い頭痛はなくならないケースがあります。

    鎮痛剤を飲まざるを得なくなった元々の頭痛は、いったいどういう頭痛なのでしょうか?元の頭痛が何かという考察が必要で、鎮痛剤を止めただけでは根本的解決になりません。

    元々の頭痛の多くは片頭痛であり、慢性化した原因を突き止める必要があります。片頭痛を悪化させる様々な要因が分かっています。慢性片頭痛は、外部環境や生活習慣の問題により、脳内の痛みの伝達系に異常を生じている状態と考えられています。そもそも片頭痛ではない可能性も考える必要があります。

    まず問診を正確に行い、片頭痛を悪化させている要因を明らかにする事が第一段階です。不安や精神的ストレスが片頭痛を悪化させている場合には、抗不安薬や抗うつ薬を用いたり、心療内科との連携をはかります。PCやスマートフォンの見過ぎ、不規則な睡眠リズムなど生活習慣が原因であれば、改善するためのアドバイスを行い、補助的治療薬を処方します。薬が効かない場合、原因の1つとして薬物乱用頭痛を考える必要があります。

    まとめ

    薬物乱用頭痛は、早期発見・適切な治療が大切です。「頭痛薬を飲む回数が増えてきた」「薬が効きにくい」と感じたら、自己判断せず早めに専門医にご相談ください。

    参考文献

    —————————————————————

    本記事は最新の医学情報をもとに2026年3月1日に更新されています。

    この記事は横浜脳神経内科医師が書いています。

    理事長 丹羽 直樹
    理事長 丹羽 直樹
    医師紹介ページはこちら
    【資格】
    日本神経学会神経内科専門医・指導医
    日本頭痛学会専門医・指導医
    日本脳卒中学会専門医
    日本内科学会認定内科医
    身体障害者福祉法指定医
    (肢体不自由、平衡機能障害、音声機能・言語機能障害、そしゃく機能障害、膀胱直腸機能障害)

    【略歴】
    1988年3月 千葉大学医学部卒業
    1989年10月 松戸市立病院 救急部
    1994年10月 七沢リハビリテーション病院
    2002年4月 沼津市立病院 神経内科
    2002年11月 長池脳神経内科開設
    2012年11月 横浜脳神経内科開設