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頭痛の疾患・症例

頭痛の疾患・症例

  • 筋トレ頭痛

    筋トレ頭痛の原因と治し方|危険な頭痛の見分け方を専門医が解説

    筋トレ中に頭痛が起きる原因には、酸欠や脱水などの生理的なものから、可逆性脳血管攣縮症候群や椎骨動脈解離、くも膜下出血などの危険な疾患も含まれます。

     

    筋トレ頭痛

     

    頭痛が起こる主な原因

    一次性頭痛(原因となる疾患がない頭痛)

    脱水状態

    激しい運動で大量の汗をかき、水分補給が不十分な場合、血管内の水分が不足して脱水状態となることで頭痛を引き起こします。また、脱水状態により元々あった片頭痛を悪化させる場合もあります。1)

    酸欠状態

    無酸素運動を続けることで血液中の酸素濃度が低下し、脳血管が拡張して頭痛を引き起こすことがあります。これは、マスク頭痛と同様、片頭痛を生じる結果となります。2)

    筋肉の損傷

    後頭部や首の筋肉に無理な強い力が加わる事で、筋肉の断裂や損傷をきたして、後頭部を中心とした痛みを引き起こす場合があります。

    外傷性頚部筋症候群(日本整形外科学会)と同様の不快な鈍い痛みとなります。

    片頭痛

    片頭痛は脳動脈が拡張して起こります。したがって、運動で体温が上昇し血管が拡がりやすくなるため、片頭痛を生じることがあります。ズキンズキンと脈に合わせて痛みが生じる特徴があります。

    一次性運動時頭痛

    一次性運動時頭痛は、激しい運動中または運動後に発生する頭痛です。ズキズキとした拍動性の痛みが特徴です。特に、持続的な運動や筋力を要する活動が引き金となることが多いとされています。3)

    ※これらは生理的なものであったり、脳に原因となる疾患のない一次性頭痛であり、命に関わる事はありません。しかし、症状が長引いたり生活に支障をきたす場合には、専門医にご相談ください。

     

    二次性頭痛(脳の疾患による頭痛)

    くも膜下出血

    今までに経験したことのないような、突然後頭部をバットで殴られたかのような激しい痛みで、吐き気・嘔吐やけいれん、意識の障害を伴うこともあります。多くは、脳動脈瘤という血管にできたコブが破裂して発症します。筋トレのような激しい運動により血圧が上昇することで、脳動脈瘤が破裂しやすくなる可能性があります。

    椎骨動脈解離

    急に生じる首から後頭部にかけての強い痛みで、椎骨動脈という首から後頭部へ行く血管が避けて生じます。特に首を強くねじったり、ベンチプレスのような首に強い負荷がかかる動作で血管が損傷しやすくなります。くも膜下出血や脳梗塞を発症することもあるため、早めに受診する必要があります。

    可逆性脳血管攣縮症候群

    雷鳴頭痛と言われる突然の1分以内にピークに達する激しい痛みで、その後も同様の誘因により頭痛を反復します。筋トレのような急に交感神経が活発になる動作では、脳動脈が一時的に収縮して生じます。片頭痛との関連が示唆されており、実際に元々片頭痛のある方に生じる傾向があります。

    (参考)筋トレが頭痛を起こすメカニズムには、交感神経系が関与します。

    筋トレ頭痛

    運動量が増加すると、交感神経系が活発となり脳動脈の収縮を起こし、運動後にリバウンドで副交感神経が優位になると脳動脈は拡張します。したがって、元々片頭痛のある方は片頭痛を起こしやすくなります。

    しかし、交感神経系の活発状態が強い場合には、脳動脈収縮が極端に強くなり可逆性脳血管攣縮症候群に至ります。さらに、

    ※以上3つの疾患は、命に関わったり、後遺症を残す可能性もある危険なものであり、早急に受診が必要です。特に、けいれんや意識の障害などがある場合は、くも膜下出血が強く疑われるため、直ちに救急病院を受診してください。

     

    筋トレ頭痛の原因疾患・状態比較表

    疾患・原因名 緊急度 主な原因・メカニズム 特徴的な症状
    くも膜下出血 極めて高い
    (直ちに救急車)
    運動による急激な血圧上昇で、脳動脈瘤(血管のコブ)が破裂する。 「今までに経験したことのない」突然の激しい頭痛。バットで殴られたような衝撃。嘔吐や意識障害を伴う。
    椎骨動脈解離 高い
    (早期に専門医へ)
    首への強い負荷や血圧上昇により、首の後ろを通る動脈(椎骨動脈)の内膜が裂ける。 突然の後頭部や首筋の痛み。放置すると脳梗塞やくも膜下出血に至る恐れがある。
    可逆性脳血管攣縮症候群
    (RCVS)
    高い
    (早期に専門医へ)
    いきみや興奮による交感神経の過剰反応で、脳血管が一時的に収縮する。 雷鳴頭痛(1分以内に痛みがピークに達する)。その後も運動のたびに頭痛を繰り返す。
    一次性運動時頭痛
    (鑑別診断推奨)
    激しい運動や持続的な負荷そのものが引き金となる。他の危険な疾患の除外が必要。 運動中や運動直後に起こる、ズキズキとした拍動性の痛み。
    片頭痛 運動による体温上昇で脳動脈が拡張し、痛みが誘発される。 ズキンズキンと脈打つ痛み。元々片頭痛持ちの人に発症しやすい。
    筋肉の損傷 低~中 無理な力みが首や後頭部の筋肉にかかり、微細な損傷や断裂を起こす。 後頭部を中心とした不快な鈍い痛み(重苦しい感じ)。
    酸欠状態 無酸素運動により血中酸素濃度が低下し、代償的に脳血管が拡張する。 頭全体が締め付けられるような痛みや、ボーッとする感覚。
    脱水状態 大量の発汗により体内の水分が不足し、血液循環が悪化する。 全体的な頭痛、ふらつき。水分補給と休息で改善する場合が多い。

     

    筋トレ頭痛の診断と治療

    MRI検査が診断に繋がります。

    そこで、実際に横浜脳神経内科を受診した症例を提示します。

    症例1. 可逆性脳血管攣縮症候群

    30代の女性で、20歳頃から時々頭痛がありました。

    筋トレ中、急に後頭部の激しい頭痛が出現しました。約20分でいったん頭痛は軽くなり、帰宅しました。しかし、その後も運動する度に頭痛が悪化し、数日が経ちました。何か脳の重大な病気ではないかと心配になり、当院を受診しました。

    頭部MRA検査を見たところ、

    筋トレ頭痛

     

    後大脳動脈が所々で途切れたようになっており、可逆性脳血管攣縮症候群と診断しました。

    この疾患では、交感神経系の過剰反応が関係します。つまり、緊張や興奮が一気に頂点に達する動作で誘発されます。

    国際頭痛分類第3版に「4.2 一次性運動時頭痛」という分類があります。そして、咳やいきみなどの刺激により突発的に起こる頭痛とされています。Parthらの最近のまとめ3)によると、一次性運動時頭痛は激しい運動により起こる急激な頭痛です。また、脳の重大な病気を除外した上で診断されるとあります。

    症状は数週間から1ヶ月で自然に改善するとされています。しかし、それまでの間強い頭痛に悩まされる事になり、生活に大きな支障をきたします。

    そこで、横浜脳神経内科では可逆性脳血管攣縮症候群の診断と治療に力を入れています。まず第一にくも膜下出血など重大な脳の病気を除外し、早期に適切な治療を開始することが大事です。この方は、血管拡張薬と交感神経遮断薬、鎮痛剤で治療する事となりました。

     

    症例2. 椎骨動脈解離

    40代の女性で、10代の頃から片頭痛と診断されていた方です。

    ベンチプレスをしていたところ、急に後頭部の血管が切れたかのような激しい頭痛が出現。そこで、持っていたトリプタンを飲んだのですが、全く効きませんでした。そして、翌朝になっても痛みは治まらず、横浜脳神経内科を受診しました。

    頭部MRA検査では、

    筋トレ頭痛

     

    椎骨動脈という、首から後頭部へ行く血管が変形しており、椎骨動脈解離と診断しました。

    この疾患は、最悪くも膜下出血を発症して突然死をきたすこともある危険なものです。そこで、直ちに救急車で血管内治療のできる病院へ搬送していただきました。

    横浜脳神経内科の症例経験では、筋トレ頭痛の原因の多くは可逆性脳血管攣縮症候群です。しかし、まれにこうした危険な疾患の場合もあります。さらに、椎骨動脈解離の詳しい病態については、専門家の記載6)をご参照ください。

     

    筋トレ頭痛の対策(一次性頭痛の場合)

    筋トレ中に頭痛が発生した場合、直ちに運動を中止し、まずは安全な部屋で休む事が大事です。

     

    落ち着いて以上のセルフケアを試みてください。

     

    筋トレ頭痛の受診の目安

    以下のような場合は早めに専門医を受診するようお勧めします。

    • 今までにないような強い頭痛
    • 手足のしびれや麻痺がある
    • 言葉が出にくい
    • 意識の障害
    • セルフケアで改善しない
    • 安静にしても30分以上痛みが続く
    • 翌日になっても改善しない

     

    二次性頭痛の場合は、緊急な治療が必要となります。早めに頭痛外来や脳神経内科を受診してください。

     

    Q&A:筋トレ頭痛に関するよくある質問

    Q1. 筋トレ中に頭痛が起きたら、すぐに運動をやめたほうがいいですか?

    A1. はい。頭痛を感じたら、まずは運動を中止し、安静にしてください。無理に続けると症状が悪化したり、重大な疾患が隠れている場合もあります。

    Q2. どんな頭痛なら医療機関を受診すべきですか?

    A2. 今まで経験した事のない激しい頭痛、手足のしびれや麻痺、言葉が出にくい、意識障害、安静にしても30分以上改善しない場合は、早めに専門医を受診してください。

    Q3. 筋トレ頭痛は予防できますか?

    A3. ある程度予防可能です。運動前後の水分補給、十分なウォーミングアップ、息を止めない呼吸法、無理のない負荷設定が効果的です。

    Q4. どのような筋トレ種目で頭痛が起きやすいですか?

    A4. 高重量のベンチプレス、スクワット、懸垂、ダンベルを使ったトレーニングなど、全身に強い力がかかる種目や息を止めやすい動作で頭痛が起こりやすい傾向があります。

    Q5. 筋トレ頭痛が頻繁に起こる場合、どうすればよいですか?

    A5. 頻繁に頭痛が出る場合は、運動の負荷やフォームを見直し、無理をしない事が大切です。それでも改善しない場合は、頭痛外来や脳神経内科の受診を検討してください。

    Q6. 筋トレ頭痛と危険な頭痛の見分け方は?

    A6. 筋トレ頭痛は多くが一時的でセルフケアで改善しますが、「突然の激しい痛み」「今までにない痛み」「神経症状(しびれ・麻痺)」があれば、すぐに医療機関を受診しましょう。

     

    参考文献

     

    この記事は横浜脳神経内科医師が書いています。

    理事長 丹羽 直樹
    理事長 丹羽 直樹
    【資格】
    日本神経学会神経内科専門医・指導医
    日本頭痛学会専門医・指導医
    日本脳卒中学会専門医
    日本内科学会認定内科医
    身体障害者福祉法指定医
    (肢体不自由、平衡機能障害、音声機能・言語機能障害、そしゃく機能障害、膀胱直腸機能障害)

    【略歴】
    1988年3月 千葉大学医学部卒業
    1989年10月 松戸市立病院 救急部
    1994年10月 七沢リハビリテーション病院
    2002年4月 沼津市立病院 神経内科
    2002年11月 長池脳神経内科開設
    2012年11月 横浜脳神経内科開設

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