刺されるような鋭い頭痛には、いくつかの可能性が考えられます。
いずれも、当院の経験では片頭痛のある方にしばしば見られます。片頭痛では、アロディニア(異痛症)といって痛みに過敏になる状態が関係すると考えられます。
一次性穿刺様頭痛
別名アイスピック頭痛とも言われる、一時的かつ局所的な痛みです。刺されるような鋭い頭痛で、1日に1回から数回あります。1回の痛みは数秒間から数10秒間で、痛みの場所は1ヶ所の事も数ヶ所の事もあります。
元々片頭痛のある方にしばしば見られますが、トリプタンは効きません。インドメタシンまたはその類似薬が有効です。
後頭神経痛
後頭部の片側または両側に生じる、ズキンとした刺されるような鋭い頭痛です。思わずウッと声が出てしまうような痛みです。
頭皮に異常感覚を伴う事もあり、圧痛点と言われる押すと痛みを感じる場所があります。この圧痛点は、後頭神経が皮膚に出てくる出口に相当します。
また、帯状疱疹により後頭神経痛を起こす場合があります。この場合には、帯状疱疹自体の治療が必要となります。
当院の経験では、一次性穿刺様頭痛と同様片頭痛の方に多く見られます。
寒冷刺激による頭痛
外的寒冷刺激による頭痛
寒い時に外へ出た時、冷たい水に飛び込んだ時など、頭部に外部からの冷たい刺激により起きます。ズキッとする刺されるような鋭い頭痛で、前頭部や側頭部に生じやすいものです。
アイスクリーム頭痛
アイスクリームやかき氷など冷たい物を食べた時に、キーンと刺されるような鋭い頭痛を生じる事があります。冷えた食べ物が喉の奥を刺激して生じるとされています。冷気を吸い込んだ場合にも、同様の頭痛をきたす事があります。
患者さんへのアドバイス
刺されるような鋭い頭痛のほとんどは、一時的なもので自然になくなります。ただし、長く続く場合には、頭部MRI検査で原因となる疾患がないかを確認する必要があります。また、生活に支障を及ぼすような場合には、脳神経内科でご相談ください。
文献
(文責:理事長 丹羽 直樹)