目の奥が痛い原因と頭痛

目の奥が痛い頭痛|原因・セルフチェック・受診の目安を頭痛専門医が解説

「目の奥がえぐられるように痛い」「目の奥がズキズキして頭痛もする」 こうした症状で眼科を受診し、「目には異常ありません」と言われた経験はありませんか?

あるいは、脳の病気を心配して脳神経外科でMRIを撮ったけれど、「脳も血管もきれいです」と診断され、痛みの原因がわからず途方に暮れている方もいらっしゃるかもしれません。実は、目の奥の痛み(眼痛・眼窩部痛)には、「眼球そのもの」や「脳や脳血管」の検査だけでは見つかりにくい、神経の炎症や機能異常が隠れていることが少なくありません。

この記事では、脳神経内科専門医の視点から、見逃されがちな「目の奥が痛くなる神経の病気」と、症状から原因を見分けるポイントについて解説します。

 

目の奥が痛い原因と頭痛

 

1. 目の奥が痛い頭痛の主な原因

眼科的疾患

急性緑内障発作

眼圧の急激な上昇による状態で、突然の激しい目の奥の痛み、視力低下、吐き気を生じます。失明のリスクがあるため早急に眼科を受診が必要です。

眼窩蜂窩織炎

副鼻腔炎や虫歯から菌が入って起こることが多く、放置すると失明や脳への感染拡大(髄膜炎)のリスクがある危険な状態です。

耳鼻科的疾患

副鼻腔炎(蓄膿症)

鼻の周囲にある副鼻腔に感染を起こすした状態で、目の奥や顔面の痛み、鼻水、鼻づまり、頭痛を生じます。風邪やアレルギ—性鼻炎がきっかけになりやすいです。

神経・脳に関連する疾患

片頭痛

ズキズキする片側または両側の痛みで、吐き気やめまいを伴ったり、光や音に過敏になる事があります。しばしば目の奥の痛みを生じます。脳動脈の拡張により起こります。

群発頭痛

片側の目の奥をえぐられるような激しい痛みで、同じ側の涙や鼻水・鼻づまりを伴い、断続的に1-2ヶ月間続きます。眼動脈や内頸動脈の炎症と拡張により生じます。

トロサ・ハント症候群

ただ痛いだけでなく、「片目で見た時は正常だが、両目で見ると物がダブって見える(複視)」という症状がある場合、眼球を動かす神経が麻痺している可能性があります。これは一般的な頭痛薬では治らず、ステロイド治療が必要なトロサ・ハント症候群の大きな特徴です。

視神経脊髄炎

神経細胞の周囲を覆っている髄鞘という部分が障害される自己免疫疾患です。目の奥の痛みや視力・視野の異常をきたします。早めに脳神経内科を受診してください。

 

2. 動かすと痛いですか?痛みの特徴でわかる原因

「目の奥が痛い」とひとことで言っても、痛みの種類は様々です。医師が診断する際、最も重視するのは「どのような時に、どう痛むか」という点です。

目をキョロキョロ動かすと痛い場合

眼球を上下左右に動かした時に、目の奥に「ズキッ」とした痛みが走る場合、視神経炎(視神経の炎症)の疑いがあります。 これは、眼球から脳へ情報を伝える「視神経」が炎症を起こして腫れている状態です。眼球そのものは綺麗なため、表面的な眼科検査では見つけにくいことがあります。

特に、脳神経内科領域で注意が必要なのは「視神経脊髄炎(NMOSD)」や「多発性硬化症(MS)」の初期症状である可能性です。これらは早期治療が視力予後を左右するため、見逃してはいけないサインです。

👉 視神経脊髄炎(NMOSD)についての詳細はこちら

 

目の奥を「えぐられる」ような激痛の場合

「キリで刺されるような」「目の奥をえぐり取られるような」と表現されるほどの激しい痛みがある場合、群発頭痛の可能性があります。

1〜2ヶ月の間、毎日のように決まった時間に激痛が襲うのが特徴です。MRIで脳の血管に異常がなくても、神経や血管の炎症が関与しているため、専門的な治療(酸素吸入やトリプタン製剤の注射など)が必要です。

 

3. MRIで異常なしでも安心できない「隠れた疾患」

脳神経外科での検査は、「脳出血」や「脳腫瘍」、「動脈瘤」を見つけるのには非常に優れています。しかし、画像には写りにくい「神経の炎症」や「機能的な頭痛」は見過ごされてしまうことがあります。 当院のような脳神経内科では、以下のような可能性も視野に入れて診断を行います。

  • トロサ・ハント症候群: 目の奥にある「海綿静脈洞」という部分に炎症が起きる稀な病気です。激しい目の奥の痛みと共に、まぶたが下がったり、物が二重に見えたりします。ステロイド治療が劇的に効くため、早期の診断が重要です。
  • 片頭痛: 片頭痛は「こめかみ」だけでなく、「目の奥」が痛むことが非常に多いです。三叉神経という顔の感覚を司る神経が刺激され、目の奥に痛みとして投影されるためです。
  • 帯状疱疹: 皮膚に発疹が出る数日前から、目の奥や額にピリピリとした強い痛みが出ることがあります。

 

4. 「目の奥頭痛」の見分け方チェックリスト

目の奥が痛くなる頭痛として考えられる疾患を比較しました。

疾患名痛みの特徴痛む場所伴う主な症状(サイン)原因・病態
片頭痛ズキズキと脈打つ
動くと悪化する
片側のこめかみ
目の奥
・吐き気、嘔吐
・光/音過敏
・閃輝暗点(前兆)
脳血管拡張
三叉神経炎症
群発頭痛「えぐられる」激痛
1~2時間続く
必ず片側
目の奥
・目の充血、涙
・鼻水、鼻閉
・まぶたの腫れ
視床下部異常
内頸動脈拡張
トロサ・ハント症候群持続的で鋭い痛み
数週間続く
片側の眼窩部・物が二重に見える
・眼球運動障害
海綿静脈洞の
炎症
眼部帯状疱疹ピリピリ、チクチク
焼けるような痛み
額、まぶた、鼻
(神経沿い)
・皮膚の水疱(発疹)
※痛みが先行あり
ウイルス
再活性化
視神経脊髄炎眼球を動かすと痛い目の奥の中心・急激な視力低下
・視野異常
自己免疫による
視神経炎症
急性緑内障発作
※眼科救急
突然の激痛、頭痛
激しい吐き気
眼球全体
頭全体
・急激な視力低下
・光の周りに虹
・目が硬くなる
眼圧の急上昇
(隅角閉塞)
眼窩蜂窩織炎
※眼科・耳鼻科
ズキズキする持続痛
圧迫感
目の奥、まぶた・まぶたの激しい腫れ
・眼球突出、発熱
細菌感染による
化膿
副鼻腔炎
※耳鼻咽喉科
重く鈍い痛み
下を向くと増強
眉間、頬、鼻根・膿性(色付)鼻水
・鼻づまり
副鼻腔の炎症
膿の貯留
※表は横にスクロールしてご覧いただけます。赤背景は緊急性が高い眼科疾患、青背景は耳鼻科疾患です。

 

「眼精疲労だと思っていたら片頭痛だった」「副鼻腔炎(蓄膿症)だと思って耳鼻科に通っていたが、実は群発頭痛だった」というケースは、当院の診察室でもよく遭遇します。自己判断で市販薬を飲み続ける前に、一度専門的な鑑別を受けるようをお勧めします。

 

5. 受診の目安

目の奥の痛みは原因が多岐にわたるため、受診先に迷うことが多い症状です。以下の目安を参考にしてください。

1. 見え方に急激な異常はありますか?

(急激な視力低下、視野が欠ける、光の周りに虹が見える)👉 眼科を受診してください。(緑内障発作、網膜剥離などの可能性)

2. 鼻の症状は強いですか? (ドロっとした鼻水、鼻詰まり、頬の痛み、発熱) 👉 耳鼻咽喉科を受診してください。(副鼻腔炎の可能性)

3. 上記に当てはまらず、以下のような場合

  • ・眼科や脳外科(MRI)で「異常なし」と言われた
  • ・目を動かすと目の奥が痛い
  • ・痛みが繰り返し起こる(慢性頭痛)
  • ・吐き気や光過敏を伴う
  • ・まぶたが下がってくる、物が二重に見える

👉 脳神経内科(頭痛外来)が専門領域です。 当院では、詳細な問診と神経学的診察を行い、必要に応じてMRI検査や血液検査(炎症反応や自己抗体など)を組み合わせて、痛みの正体を探ります。

 

6. よくある質問Q&A

Q1. 片頭痛と群発頭痛の違いは?

A1. 片頭痛はズキズキする痛みが数時間~数日続きやすく、群発頭痛は涙や鼻水を伴う目の奥をえぐられるような激痛を繰返します。

Q2. 片目だけ痛い場合は?

A2. 群発頭痛や急性緑内障発作、視神経炎などの可能性があります。早めに医療機関を受診しましょう。

Q3. 目の奥が痛い頭痛は放置しても大丈夫ですか?

A3. 放置はお勧めできません。特に視力低下や激しい痛み、吐き気、発熱などを伴う場合は、重大な病気の可能性もあるため早めの受診が大切です。

Q4. 目の奥が痛いとき、何科を受診すればよいですか?

A4. まずは眼科、もしくは脳神経内科が適切です。鼻水や鼻づまりが強い場合は耳鼻咽喉科も選択肢です。症状が強い場合や判断に迷う場合は、総合病院や救急外来も検討してください。

Q5. 市販薬や自宅でできる対処法はありますか?

A5. 一時的な痛みであれば、市販の鎮痛薬や目を休める、充分な睡眠をとる、目元を温めるなどのセルフケアが有効な場合もあります。ただし、症状が続く・悪化する場合は必ず医療機関を受診してください。

Q6. 目の奥の痛みと一緒に吐き気やめまいがあります。危険ですか?

A6. 吐き気やめまいを伴う場合、片頭痛や重篤な疾患の可能性もあります。特に症状が急激に現れた場合や強い場合は、早急に医療機関を受診してください。

Q7. 痛みが軽くても受診した方がいいですか?

A7. 痛みが軽くても、長引く場合や繰り返す場合、視力や視野の異常を感じた場合は受診をお勧めします。早期発見・治療が安心につながります。

 

7. まとめ

「目の奥が痛い」という症状は、周囲には伝わりにくい辛さがあります。もし、市販の鎮痛薬が効かなかったり、眼科検査で原因がわからなかったりした場合は、「脳と神経の専門家」である脳神経内科へご相談ください。特に、視神経脊髄炎群発頭痛などは、一般的な痛み止めでは改善せず、専門的な治療薬が必要です。早期に正しい診断をつけることが、痛みのない生活を取り戻す第一歩です。横浜脳神経内科では、頭痛専門医・脳神経内科専門医が、患者さん一人ひとりの「痛みの原因」を突き止める診療を行っています。

 

8. 参考

 

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この記事は横浜脳神経内科医師が書いています。

理事長 丹羽 直樹
理事長 丹羽 直樹

資格

略歴

  • 1988年3月 千葉大学医学部卒業
  • 1989年10月 松戸市立病院 救急部
  • 1994年10月 七沢リハビリテーション病院
  • 2002年4月 沼津市立病院 神経内科
  • 2002年11月 長池脳神経内科開設
  • 2012年11月 横浜脳神経内科開設
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