目の奥が痛い原因|症状別の対処法と受診すべき診療科
脳神経内科専門医監修
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重要:目の奥の痛みは様々な原因があります。急激な視力低下や激しい痛みがある場合は、迅速な医療機関受診が必要です。
よくある質問(緊急度チェック)
緊急受診が必要
- • 急激な視力低下
- • 激しい眼圧上昇感
- • 吐き気・嘔吐を伴う
数日以内に受診
- • 鼻水・鼻づまりを伴う
- • 繰り返す頭痛
- • 物が二重に見える
経過観察可能
- • 軽度の疲れ目
- • VDT作業後の痛み
- • 一時的な症状
症状別チェック表
主な症状 | 考えられる疾患 | 緊急度 | 受診科 |
---|---|---|---|
急激な眼圧上昇感・視力低下・吐き気 | 緑内障発作 | 緊急 | 眼科 |
鼻水・鼻づまり・頭全体の痛み | 副鼻腔炎 | 中 | 耳鼻咽喉科 |
視力低下・視野欠損・目の奥の痛み | 視神経炎 | 高 | 脳神経内科 |
片側のズキンズキンした痛み・閃輝暗点 | 片頭痛 | 中 | 脳神経内科 |
片側のえぐられるような痛み・夜間発作 | 群発頭痛 | 中 | 脳神経内科 |
二重視・まぶたの下垂・目の奥の痛み | Tolosa-Hunt症候群 | 中 | 脳神経内科 |
診断フローチャート
(眼科)
疾患別詳細解説
緑内障発作
症状の特徴
- • 急激な眼圧上昇による激しい眼痛
- • 急激な視力低下
- • 頭痛・吐き気・嘔吐
- • 虹視症(光の周りに虹が見える)
原因・メカニズム
眼球内の房水の排出が急激に障害されることで眼圧が上昇し、視神経が圧迫される状態です。
対処法・治療
緊急事態:直ちに眼科受診が必要
失明リスクがあるため、症状を感じたらすぐに医療機関へ
治療方法
- • 点滴による眼圧下降
- • レーザー治療
- • 必要に応じて手術
副鼻腔炎
症状の特徴
- • 目の奥の鈍痛
- • 鼻水・鼻づまり
- • 頭全体への痛みの拡がり
- • 頬部の痛みや圧迫感
- • 発熱を伴う場合もある
原因・メカニズム
鼻の裏側の副鼻腔に細菌やウイルスによる感染が起こり、炎症により痛みが生じます。
対処法・治療
耳鼻咽喉科を受診
治療方法
- • 抗生物質の投与
- • 鼻洗浄
- • 去痰薬・抗炎症薬
自宅でできる対処
- • 鼻の温湿布
- • 水分摂取
- • 十分な休息
視神経炎
症状の特徴
- • 目の奥の痛み(眼球運動で増強)
- • 視力低下
- • 視野欠損
- • 色覚異常
原因・メカニズム
自己免疫により視神経に炎症が起こる疾患です。多発性硬化症との関連も指摘されています。
対処法・治療
迅速に脳神経内科を受診
MRI検査による早期診断が重要
治療方法
- • ステロイドパルス療法
- • 免疫抑制療法
- • MRI経過観察
片頭痛
症状の特徴
- • 片側のズキンズキンした拍動性頭痛
- • 目の奥の痛み
- • 吐き気・嘔吐
- • 光・音過敏
- • 閃輝暗点(前兆)
原因・メカニズム
血管の拡張と三叉神経系の活性化により発生する一次性頭痛です。目の奥の痛みの最も多い原因です。
対処法・治療
脳神経内科を受診
治療方法
- • トリプタン系薬剤
- • 予防薬(β遮断薬など)
- • 生活習慣指導
セルフケア
- • 規則正しい睡眠
- • ストレス管理
- • 誘因の回避
群発頭痛
症状の特徴
- • 片側の目の奥のえぐられるような激痛
- • 夜間・睡眠中の発作
- • 同じ側の目の充血・涙
- • 鼻水・鼻づまり
- • 1-2ヶ月の群発期間
原因・メカニズム
視床下部の概日リズム異常と三叉神経血管系の活性化が関与する一次性頭痛です。
対処法・治療
脳神経内科で専門治療
治療方法
- • 酸素吸入療法
- • トリプタン系薬剤
- • 予防薬(ベラパミルなど)
注意事項
- • アルコール摂取を避ける
- • 規則正しい生活リズム
- • 群発期は禁煙
Tolosa-Hunt症候群
症状の特徴
- • 片側の目の奥の痛み
- • 複視(物が二重に見える)
- • 眼瞼下垂
- • 眼球運動障害
原因・メカニズム
海綿静脈洞周囲の炎症により、動眼神経などの脳神経が障害される稀な疾患です。
対処法・治療
脳神経内科での精密検査が必要
診断・治療
- • MRI画像診断
- • ステロイド治療
- • 他疾患との鑑別診断
予防方法と生活習慣のポイント
VDT作業対策
- • 20-20-20ルール:20分ごとに20秒間、20フィート(6m)先を見る
- • 適切な画面の明るさ・コントラスト調整
- • 目と画面の距離を50-70cm保つ
- • 意識的なまばたきを増やす
- • 加湿器で室内湿度を保つ
生活習慣の改善
- • 規則正しい睡眠リズム(7-8時間)
- • ストレス管理とリラクゼーション
- • 適度な運動習慣
- • バランスの取れた食事
- • 十分な水分摂取
頭痛予防のコツ
食事管理
- • 規則正しい食事時間
- • チョコレート・チーズの制限
- • アルコールの適量摂取
環境調整
- • 強い光の回避
- • 騒音対策
- • 温度・湿度の管理
記録管理
- • 頭痛日記の記録
- • 誘因の特定
- • 症状パターンの把握
よくある質問(FAQ)
Q1. 目の奥が痛い時、市販薬で様子を見ても大丈夫ですか?
急激な視力低下や激しい痛みがない場合は、一時的に市販の鎮痛薬で様子を見ることは可能です。ただし、症状が3日以上続く場合は医療機関を受診してください。
Q2. 片頭痛と緊張型頭痛の見分け方は?
片頭痛は片側のズキンズキンした拍動性の痛みで、光・音過敏を伴います。緊張型頭痛は両側の締め付けられるような痛みが特徴です。
Q3. 子供でも目の奥が痛くなることはありますか?
はい、子供でも目の奥の痛みは起こります。副鼻腔炎や稀に片頭痛の可能性もあります。症状が持続する場合は小児科を受診してください。
Q4. スマホやパソコンの使いすぎで目の奥が痛くなりますか?
VDT(Visual Display Terminal)作業による眼精疲労で目の奥が痛くなることがあります。適度な休憩とブルーライト対策が重要です。
Q5. 目の奥の痛みで救急外来を受診すべき症状は?
急激な視力低下、激しい眼痛、吐き気・嘔吐を伴う場合は緊急受診が必要です。特に緑内障発作の可能性があります。
まとめ
重要ポイント
- • 緊急症状:急激な視力低下・激しい痛み → 即座に眼科受診
- • 鼻症状併発:鼻水・鼻づまりあり → 耳鼻咽喉科受診
- • 頭痛症状:繰り返す頭痛 → 脳神経内科受診
- • 予防:規則正しい生活とVDT作業対策が重要
受診の目安
監修医師情報
丹羽 直樹(にわ なおき)
横浜脳神経内科 理事長
専門資格
- • 日本神経学会神経内科専門医・指導医
- • 日本頭痛学会専門医・指導医
- • 日本脳卒中学会専門医
- • 日本内科学会認定内科医
主な経歴
- • 1988年 千葉大学医学部卒業
- • 2002年 沼津市立病院 神経内科
- • 2002年 長池脳神経内科開設
- • 2012年 横浜脳神経内科開設
参考文献・関連リンク