更年期頭痛は片頭痛が悪化した状態です。

Q1. 更年期頭痛の原因は?
A. 更年期は女性のライフサイクルにおいて重要な時期であり、ホルモンバランスの変化が様々な身体的および精神的な症状を生じます。その中でも、片頭痛は特に多くの女性に影響を与える症状の一つです。1)
以下はPMS頭痛で提示した図です。

エストロゲンが減ると脳内のセロトニンという物質が減少し、脳血管の拡張により片頭痛を生じます。また、月経後にもエストロゲンの減少があり、片頭痛を起こす事もあります。
Q2. 片頭痛のメカニズムは?
A. 片頭痛は、脳血管の収縮と拡張で起こり、エストロゲンの変動が要因の1つとされています。
更年期に入ると、エストロゲンのレベルが不安定になり、片頭痛の発作が頻繁となります。特に、月経周期に関連して片頭痛が悪化する事が多く、閉経前の女性はこの影響を強く受ける傾向があります。
Q3. 更年期頭痛の特徴は?
A. 更年期には、片頭痛の頻度や程度が悪化し、慢性片頭痛に移行しやすい傾向があります。さらに、更年期によるうつ状態や睡眠障害なども片頭痛を誘発する要因となるため、悪循環となりやすい特徴があります。
Q4. 更年期頭痛の治療は?
A. 更年期障害に対して、婦人科で女性ホルモン補充療法(HRT)が行われる場合があります。しかし、文献によると、HRTは片頭痛に対しては必ずしも有効ではないとされています。また、HRTによる血栓症のリスクに注意が必要です。2)
むしろ、リスクを避けるためには、一般的な薬物療法とリラクゼーションや理学療法の併用が良いと思われます。
Q5. 更年期頭痛の対策は?
A. 更年期頭痛を予防するためには、規則正しい生活やストレス管理が重要です。特に、充分な睡眠やバランスの取れた食事が推奨されています。これらはホルモンバランスを整える助けとなり、片頭痛の発作を軽減する可能性があります。
特に、ヨガなどのリラクゼーションや軽い運動、ストレッチが効果的である事が示されています。これにより、心身の緊張を和らげ、片頭痛の発作を軽減する事が期待できます。
また、頭痛の悪化が他の原因である場合があり、詳しい検査が必要な場合もあります。
横浜脳神経内科では、薬の処方だけでなく、生活習慣改善のためのアドバイスを行っています。お悩みの方は、ご相談ください。
参考
(文責:横浜脳神経内科 理事長 丹羽 直樹)