片頭痛とアレルギーの深い関係|食物・花粉症・対策まで徹底解説
片頭痛に悩む方の多くが、実は何らかのアレルギー疾患を抱えています。この記事では、食物アレルギーや花粉症が片頭痛にどのような影響を与えるのか、最新の研究結果や実例を交えながら、原因・対策・予防法まで分かりやすく解説します。

片頭痛とアレルギーの関係とは?
片頭痛の方は、喘息やアトピー、花粉症、食物アレルギーなど、さまざまなアレルギーを併発している事が少なくありません。例えば、花粉症の時期に片頭痛が悪化したり、低気圧の季節に喘息と片頭痛が同時に悪化するなど、アレルギーと片頭痛は密接な関係にあります。
- ・片頭痛患者の多くがアレルギー体質
- ・花粉症やアレルギー性鼻炎で頭痛が悪化
- ・遺伝的・体質的な要素も大きい
食物アレルギーと片頭痛の最新知見
近年、食物アレルギー(特に小麦のグルテンや乳製品のカゼイン)と片頭痛の関係が注目されています。遅延型アレルギー(IgG型)は、摂取から数時間~数日後に症状が現れるため、原因に気づきにくいのが特徴です。食物アレルギーの原因物質(アレルゲン)を除去した食事療法で、片頭痛の発作が減少したという研究報告もあります。1)2)
- ・グルテン:腸粘膜の炎症や吸収不良を引き起こす
- ・カゼイン:日本人は消化しにくく、アレルギーを起こしやすい
- ・鉄分や糖分の吸収障害が片頭痛悪化の要因に
花粉症・アレルギー性鼻炎と片頭痛の悪化
花粉症やアレルギー性鼻炎の季節は、片頭痛が悪化しやすい時期でもあります。鼻づまりや副鼻腔炎による圧迫感、睡眠障害やストレス増加も片頭痛発作の引き金になります。
- ・花粉症の炎症物質が神経を刺激し頭痛を誘発
- ・鼻閉や副鼻腔炎による二次的な頭痛
- ・睡眠不足やストレスが片頭痛を誘発
片頭痛とアレルギーのメカニズム
アレルギー反応で放出されるヒスタミンやロイコトリエンなどの物質は、神経や血管を刺激し、片頭痛の発作を引き起こす事があります。また、自律神経の乱れや遺伝要因も両者に共通しています。
片頭痛とアレルギーの対策・予防法
- ・食生活の見直し(グルテン・カゼイン除去食の検討)
- ・花粉症やアレルギー性鼻炎の適切な治療
- ・マスク・掃除・衣服の工夫でアレルゲン対策
- ・睡眠・ストレス管理も重要
- ・症状が強い場合は専門医へ相談
当院の外来診療の場面でも、パンやめん類を止めたら片頭痛が減ったという話を聞きます。あらゆる食べ物に使われている小麦。そして、食べていないと思っていても意外に食べている事が多いのも小麦です。一体自分は何を口にしているか、ご自身の食生活を振り返ってみてはいかがでしょうか?
よくある質問(Q&A)
Q1. 片頭痛とアレルギーは本当に関係がありますか?
A1. はい、関係があります。片頭痛の方は喘息や花粉症、食物アレルギーなど他のアレルギー疾患を併発している事が多いとされています。アレルギー反応による炎症や神経の刺激が、片頭痛の発作を引き起こす要因になる事もあります。
Q2. どんな食べ物が片頭痛を悪化させやすいですか?
A2. 小麦に含まれるグルテンや、乳製品のカゼインは、片頭痛と関連が深いとされています。これらの食品が腸の炎症や吸収障害を引き起こし、片頭痛の発作につながる事があります。気になる方は、一度食生活を見直してみる事をお勧めします。
Q3. 花粉症の時期になると頭痛がひどくなるのはなぜですか?
A3. 花粉症の症状(鼻づまりや副鼻腔炎など)が、頭部の圧迫感や睡眠障害、ストレスを引き起こし、片頭痛を悪化させる事があります。また、アレルギー反応による炎症物質が神経を刺激する事も関連しています。
Q4. 片頭痛を和らげるために自分でできる対策はありますか?
A4. グルテンやカゼインなどのアレルゲンを避ける食生活、花粉症やアレルギー性鼻炎の適切な治療、マスクや掃除などのアレルゲン対策、充分な睡眠とストレス管理が効果的です。症状が強い場合は、医師に相談しましょう。
Q5. どのタイミングで病院を受診すればいいですか?
A5. 市販薬や生活改善で片頭痛やアレルギー症状が改善しない場合、日常生活に支障が出る場合、急激な頭痛や意識障害などの異常がある場合は、早めに医療機関を受診してください。
まとめ
片頭痛とアレルギーには深い関わりがあります。食物や花粉など、身近なアレルゲンを見直す事で、片頭痛の予防や改善につながる可能性があります。気になる方は一度、食生活や生活環境を振り返り、必要に応じて医療機関に相談しましょう。
文献
- ・Carlos M Arroyave Hernández, Mauro Echavarría Pinto, Hebert Luis Hernández Montiel. Food allergy mediated by IgG antibodies associated with migraine in adults. erg Mex . 2007 Sep-Oct;54(5):162-8.
- ・Natasha Mitchell, Catherine E Hewitt, Shalmini Jayakody, Muhammad Islam, Joy Adamson, Ian Watt, David J Torgerson. Randomised controlled trial of food elimination diet based on IgG antibodies for the prevention of migraine like headaches. Nutr J. 2011 Aug 11:10:85.
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この記事は横浜脳神経内科医師が書いています。
資格
- 日本神経学会神経内科専門医・指導医
- 日本頭痛学会専門医・指導医
- 日本脳卒中学会専門医
- 日本内科学会認定内科医
- 身体障害者福祉法指定医
(肢体不自由、平衡機能障害、音声機能・言語機能障害、そしゃく機能障害、膀胱直腸機能障害)
略歴
- 1988年3月 千葉大学医学部卒業
- 1989年10月 松戸市立病院 救急部
- 1994年10月 七沢リハビリテーション病院
- 2002年4月 沼津市立病院 神経内科
- 2002年11月 長池脳神経内科開設
- 2012年11月 横浜脳神経内科開設
