隠れ脳梗塞

隠れ脳梗塞という、はっきりした定義のない言葉が使われています。医学的には、無症候性脳梗塞という症状のない脳梗塞で、脳の細い血管が詰まった状態を言います。

隠れ脳梗塞

隠れ脳梗塞と診断された症例

30代前半の女性で、元々片頭痛のある方です。他院でMRI検査を受けた際に「あなたは隠れ脳梗塞がある」と言われ、かなりショックを受けました。片頭痛が続いている事もあり、横浜脳神経内科を受診しました。

通常、脳梗塞は長年の高血圧や糖尿病など、脳動脈硬化をきたすような原因があって生じるものです。この方は30代という若さで、そうした基礎疾患は指摘された事はありません。

改めてMRI検査を行いました。

隠れ脳梗塞

 

微小脳梗塞の画像

隠れ脳梗塞

 

白く写っている部分が2ヶ所あり、内部が黒く穴があいたように見えます。血管が詰まると、その先の脳細胞に血液が行かなくなり、壊死といって脳細胞は死んでしまいます。その結果、壊死した部分は抜け落ちて空洞になるため、このように写ります。

片頭痛で見られる白質病変と本当の隠れ脳梗塞は、明らかに別のもので画像所見も異なります。前医では、これらを区別できず、白質病変を隠れ脳梗塞と誤診したものと思われます。

なお、白質病変は様々な疾患で見られますが、片頭痛で見られる白質病変は悪いものではなく、心配はありません。

 

参考

 

(文責:横浜脳神経内科 理事長 丹羽 直樹

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