低血圧で頭痛

低血圧で頭痛が起きる場合があります。

低血圧で頭痛

 

低血圧で頭痛を生じた症例

30代前半の女性で、元々頭痛持ちだった方です。

しばしば立ちくらみがあって、階段を昇っていると歩けなくなるといった状況でした。健康診断で低血圧を指摘され、このための立ちくらみと言われていました。また、仕事が忙しく、普段からあまり水分が摂れていませんでした。

ある時期から、後頭部を中心とした痛みを感じるようになり、時々前頭部の痛みも生じるようになりました。横になると頭痛は軽くなり、立ち仕事では頭痛で支障をきたしていました。

横浜脳神経内科を受診、診察場面でも立った姿勢で頭痛を生じ、横になると楽になる状態でした。頭を下に下げても頭痛は軽くなり、両側の頚静脈を圧迫するとやはり頭痛は軽くなりました。

頭部MRI検査を行いました。

低血圧で頭痛

 

脳の周囲を囲む白い部分が写っています。頭蓋骨と脳の間に硬膜という硬い膜がありますが、通常は薄いため写りません。つまり、硬膜が厚くなっており、硬膜肥厚という状態になっています。

脳脊髄液減少症という髄液が減って頭痛を起こす状態があります。硬膜は脳から脊髄までを包んでおり、通常は脊髄周囲の硬膜に穴があいて生じます。

この方の場合には、調べた限り硬膜の穴は見つかりませんでした。したがって、慢性的な低血圧と脱水のために髄液が作れなくなって生じたものと考えられました。

対策

この方の場合には、慢性的な低血圧と脱水状態が原因のため、以下のような生活習慣をお勧めしました。

  • ・積極的に水分と塩分を摂る。
  • ・弾性ストッキングなどで下半身を圧迫する。
  • ・朝食は少なめとし、炭水化物を控える。
  • ・コーヒーを飲む習慣。

いずれも、血管内の水分を増やす事で、髄液の材料を増やす事に繋がります。

 

治療

昇圧剤と髄液量を増やす薬(ビタミンA、カフェイン)による内科的治療が主となります。そして、約1年間で頭痛は解消しました。

 

参考

  1. 頭痛の診療ガイドライン2021 – 日本神経治療学会
  2. 脳脊髄液減少症とは? – CSF JAPAN

 

(文責:横浜脳神経内科 理事長 丹羽 直樹

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