もやもや病と片頭痛の関連について説明します。
症例
30代前半の女性で、数年前から月に1-2回の割合で右目の奥やこめかみのズキンズキンと脈打つ痛みを繰り返すようになりました。女性によくある片頭痛だと思い、市販の鎮痛剤を飲んでしのいでいました。
母親もかつて頭痛持ちで、55歳の時に左手足の力が入りにくくなり、脳梗塞と診断された事を思い出し横浜脳神経内科を受診しました。
MRI検査で脳の血管を見たところ、
本来ならあるはずの右側の内頚動脈という血管が写っていません。その上の方も血管が全体的に細くなっています。(左内頚動脈は正常です)
ASL(arterial spin labeling)法という、MRIで脳血流を評価する検査を行ったところ、
右の前頭葉、側頭葉、後頭葉で血流が低下しています。(青い場所が血流の悪い部分です)さらに、時間経過を追って血流の変化を見てみると、
徐々に血流が補われていく状態がうかがえます。
解説
最初に日本で発見された「もやもや病」という病気で、厚生労働省の指定難病の一つです。このように内頚動脈という太い血管が次第に細くなり、詰まって脳梗塞を起こす事もある病気です。
年齢や重症度により、血管をつなぐバイパス手術が行われます。
※下は他のもやもや病と片頭痛のある方の画像で、左側の内頚動脈が詰まっています。
血管が詰まり血流が悪くなると、それを補おうとして毛細血管が発達してきます。そして、その状態がもやもやと見えるため、「もやもや病」と名付けられました。若い方の脳梗塞や脳出血の原因となります。遺伝子が特定されていますが、必ずしも全員が発病するわけではありません。
参考
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この記事は横浜脳神経内科医師が書いています。
資格
- 日本神経学会神経内科専門医・指導医
- 日本頭痛学会専門医・指導医
- 日本脳卒中学会専門医
- 日本内科学会認定内科医
- 身体障害者福祉法指定医
(肢体不自由、平衡機能障害、音声機能・言語機能障害、そしゃく機能障害、膀胱直腸機能障害)
略歴
- 1988年3月 千葉大学医学部卒業
- 1989年10月 松戸市立病院 救急部
- 1994年10月 七沢リハビリテーション病院
- 2002年4月 沼津市立病院 神経内科
- 2002年11月 長池脳神経内科開設
- 2012年11月 横浜脳神経内科開設