低血圧で頭痛が起こる事があります。
Q1. 低血圧で頭痛が起こる原因は?
A1. 低血圧で頭痛を生じるメカニズムは以下の通りです。
- ①脳血流の減少:血圧が低い事で脳の血液循環が減少。
- ②脳脊髄液の減少:脳血液循環量の不足により、脳脊髄液の産生が減少。
- ③脱水状態:水分摂取量が足りないと、さらに脳脊髄液が減少。
- ④脳圧の低下:脳脊髄液減少により、脳圧が低下して頭痛をきたす。
Q2. 低血圧による他の症状は?
A2. 低血圧でよく見られる頭痛以外の症状に以下があります。
- ・めまい・立ちくらみ
- ・朝の起床困難
- ・倦怠感・疲労感
- ・肩こり
- ・動悸
Q3. 低血圧による頭痛の対処は?
A3. 脳循環血液量を増やす必要があります。
- ・積極的に水分と塩分を摂る。
- ・弾性ストッキングなどで下半身を圧迫する。
- ・朝食は少なめとし、炭水化物を控える。
- ・コーヒーを飲む習慣。
いずれも、血管内の水分を増やす事で、髄液の材料を増やす効果があります。
Q4. 低血圧による頭痛の診断は?
A4. 当院の実際の症例を元に解説します。
30代前半の女性で、しばしば立ちくらみがあり、階段を昇っていて歩けなくなる状況でした。健康診断で低血圧を指摘され、このための症状と言われていました。また、仕事が忙しく、普段からあまり水分が摂れていませんでした。
後頭部や前頭部の痛みを生じるようになりました。横になると頭痛は軽くなり、立ち仕事では頭痛で支障をきたしていました。
横浜脳神経内科を受診、診察場面でも立った姿勢で頭痛を生じ、横になると楽になる状態でした。頭を下に下げても頭痛は軽くなり、両側の頚静脈を圧迫するとやはり頭痛は軽くなりました。
頭部MRI検査を行いました。
すると、脳の周囲を囲む白い部分が写っています。頭蓋骨と脳の間の硬膜が厚くなっている状態です。
脳脊髄液減少症という髄液が減って頭痛を起こす状態です。通常は、髄液が皮下に漏れて生じますが、この方の場合には、硬膜の穴は見つかりませんでした。したがって、慢性的な低血圧と脱水のため髄液が作れなくなって生じたものと考えられました。
Q5. 低血圧による頭痛の治療は?
A5. 慢性的な低血圧と脱水状態が原因であり、以下のような習慣を心掛ける事が大事です。
昇圧剤と髄液量を増やす薬(ビタミンA、カフェイン)による治療が主となります。
また、低血圧で頭痛をきたしているかどうかの診断には、専門医を受診する必要があります。
横浜脳神経内科では、日本頭痛学会専門医・指導医、日本神経学会専門医・指導医、日本脳卒中学会専門医が診療を行っています。不安な方は、お気軽にご相談ください。
参考
(文責:横浜脳神経内科 理事長 丹羽 直樹)